「天声人語」をアピールする朝日新聞は時代錯誤

朝日新聞がヤフーニュースに企業広告を出しています。他の新聞社には見かけない試みであり、読んでみました。そこで感じたのは、朝日新聞には昭和の臭いがすると言うことでした。

というのは、私の青春時代は昭和の時代であり、私がその頃朝日新聞に感じていたことを朝日新聞はこれらの企業広告で盛んにアピールしているからです。先ず読んだのは女性が初めて天声人語の執筆者になったという広告です。これは女性の執筆者を紹介しながら、実は天声人語を強くアピールするものです。私の大学受験時代には、大学入試の国語の試験に天声人語が題材にされることが多く、そのため多くの受験生が受験対策として朝日新聞を読んでいました。特に天声人語は毎日読んでいる人も多かったと思います。今思うと抽象的な内容が多く,得るものは無かったと思いますが、当時の大学入試国語は抽象的な答えを求めるものが多く、題材として丁度良かったようです。それと大学入試の出題者(大学教授?)に朝日新聞を読む人が多かったものと思われます。そのこともあって朝日新聞はインテリの新聞と言う評価でした。この評価は平成の時代(1989年1月8日)になっても暫く続き、西暦2000年代に入ってから変わってきたように思われます。それはインターネットの常時接続が普及し、国民が情報を新聞からよりもインターネットから採ることが多くなった流れと一致しています。インターネットから多様な情報が得られるようになると朝日新聞の記事も大したことがないように思われてきました。また事実を伝えるニュースはインターネットに適わないため、朝日新聞にはニュースに関する記者の解釈や評価の記事が増えてきました。これらは言うなれば記者のブログのようなもので、朝日新聞が記者のブログ化してきました。ネット上には朝日新聞記者の書く記事を凌ぐブログがたくさんあります。これらは無料であり、月5,000円近くも払って朝日新聞を読む人はそんなにいません。従って朝日新聞に限らず新聞の購読部数が減るのは当然と言えます。天声人語は、現役を引退した記者が書いているため自分で検証した内容は殆どなく、抽象論、価値論になっています。これを読んでも読者は得るものがありません。また今の時代大学の入試の題材に使われることもないと思われます。それは大学で求められる国語力が抽象的理解力から実体把握力に変わってきているからです。パソコンやスマホが普及し、これらを取扱い説明書に従ってセットでき、操作できる国語力が必要となっているのです。こうなると天声人語は一番書いてはいけない文書の見本となります。

朝日新聞の企業広告に「今でしょ!」の林先生と子供3人を東大医学部に入れたことで有名な佐藤ママを引っ張り出していますが、2人とも朝日新聞の意図を感じ取り天声人語の効用に少し触れていますが、絶賛してはいません。それは今の時代天声人語は時代遅れになっていることを分かっているからだと思われます。2人の話している内容は、他社から依頼されても少し変えればそのまま使える内容となっています。衰退する新聞社と運命を共にする程2人は馬鹿ではありません。

この朝日新聞の企業広告を読むと天声人語を拠り所・アイデンティとする朝日新聞の将来は絶望的だと思われます。