自公対立の解決策は自公合流しかない

自民党と公明党が選挙区を巡って揉めています。次の総選挙では区割り変更により選挙区が10増10減となりますが、公明党はこの増加する選挙区のうち4つの区に公明党候補を立てると一方的に表明しました。これらの区は公明党の支持者である創価学会員より自民党支持者が多いので、当然自民党との統一候補が前提です。しかしこれだけ一方的にやられると地元の自民党関係者がすんなりと了承するわけがありません。このことは公明党も想定済みであり、この全部の選挙区に公明党候補を立てられるとは思っていなかったと思われます。最近東京28区、29区では自民党都連会長である自民党の荻生田政調会長が公明党候補は認められないと通告し、公明党は28区については擁立を断念、29区については自民党の推薦を求めないとし、その代わり東京の自民党候補に対する公明党の推薦を出さないと決定しました。これに対して自民党は、東京28区と29区の代わりに東京12区と15区からの公明党候補の擁立を認める、また埼玉14区と愛知16区からの擁立はそのまま認めるとの懐柔案を出しました。東京12区は前回公明党候補が当選している選挙区であること、15区は自民党が苦戦している選挙区であることから公明党にはメリットがないようです。一方埼玉14区と愛知16区からの擁立が認められることはメリットとなります。しかし埼玉と愛知の自民党県連はこれに反対であり、一筋縄で行きそうにありません。さらに広島3区では選挙違反で辞職した自民党の河井克行議員に代わって前回の総選挙で立候補し当選した公明党の斎藤鉄夫国交大臣が再出馬することに対して自民党広島県連が反対しています。

このように公明党と自民党が選挙区を巡り対立するのは、両党が置かれている環境が原因となっています。公明党は牙城である大阪市内で4議席、兵庫で2議席持っていますが、大阪および兵庫では4月の統一地方選挙で日本維新の会(維新)が圧勝または躍進しており、次の総選挙でこれらの議席の全部または一部を失う可能性が高くなっています。従ってこの分を10増選挙区で確保しようと考えているようです。一方4月の統一地方選挙では自民党も維新に議席を奪われており、この背景には自民党支持者が維新に移っていることがあります。この原因は自民党が公明党に頭が上がらないのに対して、維新は公明党と戦う姿勢が評価されていることがあります。従って自民党がこのまま公明党の言い成りになっていたら、自民党支持者が維新に移る動きが加速してしまいます。自民党は組織防衛上公明党言い成りの姿勢は見せられなくなっています。

こういう背景のため両党の着地点は難しいと言えます。ただしどちらが有利かと言えば自民党です。それは公明党は自民党と連立を組まない限り存在価値がないからです。公明党は創価学会の政治団体ですが、前回の参議院選挙全国区の得票数が約618万票であり、全有権者の約8%に過ぎません。それが自民党と連立をくんでいるおかげで国交大臣のポストを10年に渡り確保し、公共事業に影響を及ぼしています。もし自民党と連立を解消したら中途半端な政党として存在価値がなくなります。従って公明党は自民党が第一党になれるように公明党候補がいない選挙区では自民党候補に投票する以外選択肢はありません。維新や立憲民主党候補への投票はありえません。「維新と共闘するのではないか」との声もありますが、それは維新にとって自殺行為であり有得ません。従って公明党が言っている東京都の自民党候補に推薦を出さないというのは実効性が無いことになります。一方自民党が埼玉14区や愛知16区や広島3区で公明党候補を推薦したとしても自民党支持者で公明党候補に投票する人は少ないと考えられます。そもそも自民党支持者は創価学会以外の宗教(たとえ葬儀仏教であっても)があるわけですから、改宗に等しい公明党候補に投票できるはずがないのです。これまでは立憲民主党や共産党に投票するわけにはいかず公明党候補に投票していましたが、今は自民党とほぼ変わらない維新があることから、維新に投票することになります。1回維新に投票すればもう自民党に戻ることはありません。こうして自民党の支持者が消えて行ってしまいます。これが分かれば小選挙区で公明党から候補者を出すのは止めた方が良いことになります。そしてこの解決策は公明党が自民党に合流し、自民党候補として立候補するしかありません。こうすれば自民党支持者が創価学会員だから投票しないということは少なくなります。また大阪や兵庫など創価学会員が自民党支持者より多い地区は創価学会員が立候補することになり、創価学会員の議員を増やすことができます。また公明党が悪目立ちしていることで創価学会員は国民の多くから嫌われており、この状態を解消できます。このように自民党への合流は公明党や創価学会にとって残された唯一の道と言えます。