NHK“養育費”をこども対策費に充当すべき
岸田政権の「次元の異なる少子化対策」では、来年度から約3.5兆円の追加予算措置を講じる方針とのことです。しかしその財源については迷走しています。岸田首相が設置した「こども未来戦略会議」では社会保険料に上乗せする意見が強いようですが、これは所得税増税と同じであり、選挙への影響を考える自民党で反対意見が多いようです。自民党の茂木幹事長は「まずは歳出改革を徹底していく。社会保険料の引き上げや上乗せを考えているわけではない」と述べています。「歳出改革を徹底」と言うのは日本維新の会(維新)の「身を切る改革」を意識しているのだと思われますが、既に大阪府議会の定員を10年で109から79に減らした実績があり、大阪市議会でも81から70への削減を提案している維新に対して自民党は実績0であり、あまり期待できません。それに歳出削減と言ってもそれは現在の給付を減らしこども手当に振り替えることに過ぎません。新しいこども対策として現在15歳まで支給されているこども手当を18歳まで延長する案がでていますが、その代わりに現行16~18歳まで適用されている扶養控除を廃止する案が浮上しており、自民党の言う歳出改革の実体を良く表しています。これが国民から支持されないのは当然と言えます。
このように自民党の歳出改革で国民の支持を得るのは難しいのですが、1つだけ国民の支持を得られる財源対策があります。それはNHK”負担金“約7,000億円をこども対策費の財源に振り替えることです。NHKは4月27日のマスコミ向け説明会でNHK受信料は視聴の対価ではなく公共放送運営のため特殊な”負担金“であるとしました。これはNHKを見ない人(ある調査によると1週間に5分以上NHKを見ている人の割合は54.7%だった。1日ではなく「1週間」であることに注意)が増え、これを理由に受信料の支払いを拒否する事例が増えているために考え出された方便です。放送法は受信契約の締結を前提しており、受信料は視聴の対価であることに繋がります。視聴を前提としない”負担金“なら受信契約を締結する必要はなく、国民全員に負担を求めれば済みます。受信料が”負担金“なら税金で手当てするのが最も合理的であり、受信料不払い者や多大な徴収コストの問題も発生しません。これに対してNHKが現行の受信料制度を維持したいのは、税金なら税収の減少によりNHK負担金も減らされることがあるのに対して、受信料制度なら税収に影響なく収入を確保できるからです。今回NHKが受信料を”負担金“だとしたことから、負担者としては1週間に5分以上視聴する人が54.7%しかいないNHKの”負担金“として月1,950円(地上波・BS)という金額は高過ぎるということになります。このためアンケートをとればNHKスクランブル化を求める人が8割以上に達しています。従って今後この”負担金“は下げざるを得ないのですが、これは実質的にNHK”養育費“であることからこども対策費に振り替えるとなれば今の金額でも了承する国民は多いと思われます。その場合、所得のある全国民に負担(税金)をしてもらうことになりますので、1兆5,000億円くらいの収入となります。
このようにNHK受信料を廃止し、この分をこども対策負担金として税金で徴収しこども対策費の財源にするというのが国民の納得を得られる最良の方法です。