1週間に5分も見ないNHKに7,000億円払うなんて

NHKがインターネット配信できる番組の範囲を定める実施基準で認められていない設備などの費用約9億円を2023年度予算に計上していた問題で、一部の関係者が大騒ぎしています。一部の関係者というのは、NHKの稲葉会長と稲葉会長から指名された理事、NHK経営委員会、新聞およびマスコミです。総務省は松本大臣が放送法違反ではないと発言し、収束を図っています。

しかしこれがそんなに大問題でしょうか?前田前会長は「(来年3月に)BS放送を1波削減するのだから、サービスの質の低下を招かないために先を見据えて準備をするのは当然のこと」「認可されてから準備をするのでは遅い」と述べていますが、その通りだと思われます。実務上予算を執行する前には実施基準を定めて総務省の認可を採ることになりますから、実際上は何の問題も起きません。これを問題化している稲葉会長には、何らかの政治的意図があるように思われてなりません。それは前田前会長がみずほフィナンシャルグループの社長・会長経験者であり、稲葉会長が日銀理事経験者であることから、稲葉会長は自分が前田前会長より格上であることを示すために前田前会長を貶めているように見えます。

NHKのインターネット業務についてNHKは放送法の「必須業務」にするよう総務省に要望しているのようですが、法律で規制された放送と規制が無いインターネット業務は全く別物であり、放送と同じNHKの「必須業務」になるわけがありません。これを「必須業務」に繰り入れようとするNHKの狙いは、放送を見る人がいなくなってもインターネットに配信していることことを根拠に受信料を取り続けるためだと考えられます。普通に考えればNHKにとってインターネット業務は放送の補完業務であり、「必須業務」に対して「任意業務」です。NHKも任意業務としてインターネット配信を行うのは問題なく、むしろ積極的に行うべきだと考えられます。と言うのは、NHKが受信料制度の手本とした英国では2028年3月までBBC受信料を廃止する計画であり、BBCはネット放送(配信)を本業とする予定で準備を進めていると言われています。この流れはNHKにも波及するのは間違いなく、NHKも今から準備しておく必要があります。

稲葉会長は前田前会長へのライバル意識から前田前会長が実施したNHKの将来を見通した改革も取り消そうとしているようですが、それではNHKは解体するしかなくなります。

この問題に関しては新聞業界と民間放送局がこれまでになく積極的にNHKの姿勢を批判しています。これまではNHKがインターネット業務に進出すれば民放の利益が減る(民業圧迫)と言う論理でしたが、今回はNHKがこのままでは民放が持たないと言う危機感があるように感じられます。それは1週間に5分も見られていなNHKに約7,000億円の資金がつぎ込まれることに対する不満からであり、またNHK受信料を払うのが嫌でテレビを廃棄する人増えている現状に対する危機感からでもあります。NHKは国民にとって無用の長物化しており、新聞およびテレビはNHK解体に向けて論陣を張って欲しいと思います。