保険証廃止か自民党廃止かになってきた

マイナンバーカード(マイナカード)でトラブルが続発している問題で、岸田首相は紙の健康保険証を来年(2024年)秋からマイナカードに統合する計画は変えないと表明しました。ただし1年の猶予期間があると述べ、実質的には統合する時期を1年先送りする意図を滲ませました。この違いは紙の保険証が使えなくなる時期にあります。デジタル庁の河野大臣のこれまでの言い方は来年秋から実質的に紙の保険証は使えなくなくということでしたが、岸田首相の言い方では法律に1年間の猶予期間が設定されているから紙の保険証が使えなくなる時期を再来年秋にすることもあり得ると言うことになります。

マイナカードトラブルは多岐にわたっており、その原因は民間ではとても運用に供せられない完成度の低いシステムを運用に供していることです。これは開発主体のデジタル庁が2021年9月の発足でまだ2年10カ月しか経ってない組織であり、かつ経験のある人材が不足していることが背景にあります。その中で昨年8月河野大臣となって、2024年秋から保険証を、2024年末から運転免許証をマイナカードと一体化させる方針を決めたことから、デジタル庁のスタッフのキャパを超えることとなったと考えられます。河野大臣は政策の実現プロセスを検証せず政策を決定する性癖があります。防衛大臣のときも陸上イージスシステムの設置が閣議で決定し、設置予定地域と交渉をしているなかで突然中止を言い出しました。中止の理由や代替手段についての説明はなく、国民には藪の中の決定でした。防衛問題だから秘密にしたいのだろうと思っていたら、後日防衛大臣交代後代替手段としてイージス艦2隻の建造が発表されたことから、どうも河野大臣は代替手段までは考えていなかったと思われます。陸上イージスはイージス艦では日本全土をカバーできないことから考えられたものであり、代替手段にはなりません。このように河野大臣は自分の琴線に触れるインプットがあると具体的妥当性および実現プロセスを十分検証せずに判断する(アウトプットを出す)のが特徴です。これはお坊ちゃま育ちに多い特徴でもあります。河野大臣が自民党内、とりわけ所属派閥の麻生派で人望が無い理由が分かります。

保険証は病院通いの人たちにとっては命の綱であり、これにトラブルがあると病気が悪化する原因になりかねません。そのため多くの国民が保険証に関するマイナカードトラブルを聞いて我が身のことのように考えており、河野大臣のこのトラブルを軽視する言動や態度が我慢ならない状況です。

自民党の議員もこれに気付いてきてマイナカードと保険証の一体化時期の先延ばしを主張する人も出てきましたが、岸田首相は河野大臣の面子を気にしてその方向に舵を切れません。しかしこれは次の総選挙の結果を左右する保険証廃止か自民党廃止かという問題になる可能性があります。