ドコモが楽天モバイルを生き返らせる
NTTドコモは6月20日、新たなプラン「irumo」(イルモ)を発表しました。イルモは各種割引を適用すると、3GBプランが月額880円になりますが、適用しない場合は2,167円です。ドコモは7月1日付で、OCNブランドで3GB月額990円のプランを提供する子会社のNTTレゾナントを吸収合併しており、外形上この後継プランのように思えます。しかし実体は全く違います。イルモで月額880円になるのは、料金をドコモのカードであるdカード払いにする(187円割引)、光回線をドコモ光(ドコモのホームルーターでも可)で契約する(1,100円割引)の場合であり、OCNの月額980円プランとは全く別物であることが分かります。これはドコモをNTTに吸収したことから、これまでひかり回線(NTT)と携帯電話(ドコモ)の営業を別々に行っていたのを統合し、ドコモのユーザーでひかり回線は他社と契約しているユーザーをNTTとの直接契約に切り替えさせ、また新規にドコモと契約するユーザーはひかり回線もNTTと契約させることを狙っているものと考えられます。即ちNTTとドコモ統合効果を営業面で出そうとしていると考えられます。それにOCNの月額990円プランは楽天モバイルからの乗り換えを狙ったものでしたが、楽天モバイルがauと回線使用契約を改定したことでこの乗り換えが減少することも見越していると思われます。
一方OCNで3Gまで990円プランを契約している人は、固定電話は持たず、パソコン用の回線やホームルーターは他社と契約し、カードも楽天カードという人が多く、こういう人からすると改悪であり、実質値上げと言うことになります。
私は楽天モバイルが3Gまで無料のプランを発表したとき楽天モバイルに加入しましたが、その後無料プランを廃止したことから、OCNの990円プランへの乗り換えを検討していました。楽天モバイルは通信品質の悪さが悩みの種でしたが、6月1日からau回線が使えることとなったことから、この問題はある程度解消します。そうなるとドコモの880円プランは光回線の再契約やカードの切り替えなどが面倒であり、ちょっと切り替える気にはなりません。OCNの3Gまで990円プランは楽天モバイルからの乗り換えを狙ったものであり、相当の乗り換えがあったものと予想されます。この契約についてはこのまま有効ということなどでこの契約のユーザーが急ぎ他社に乗り換えるということはなさそうですが、少なくとも今後イルモの880円プランに乗り換えるユーザーは先ほど述べたNTTの上得意客以外なさそうです。
今回の発表で驚いたのは、以前批判を浴びたいくつもの条件を満たした後の料金をさも安いように発表する手法をNTTが復活したことです。これで携帯ユーザーの間でNTTの印象は一気に悪化したと思われます。これをNTTがやったのは、楽天の財務が悪化し、楽天モバイルが以前のように料金引き下げ競争を仕掛けられなくなったことから、あわよくば以前のように4社協調的な料金体制に持ち込もう(楽天モバイルを誘っている)としているとも考えられます。
私はドコモがahamoを出して料金値下げに踏み切ったときには、やはりNTT(ドコモ)に携帯料金のリーダーにすべきだと思いましたが、今回の発表を見てドコモこそ携帯料金高止まりの元凶と判断しました。
今回のドコモの発表は、3G無料プラン廃止のときの三木谷社長の言動(いつまでも唯で使われても困る)からドコモに移ったユーザーがまた楽天モバイルに戻る切っ掛けになると共に、ドコモのシェアが凋落し、その分auのシェアが上昇し、ドコモが携帯電話シェアNO.1から落ちるきっかけになるような気がします。