保険契約者を裏切った損保ジャパンは廃業しかない

ビッグモーター(BM)が車両修理代金を水増しして保険請求していた事件の構図が明らかになってきました。本件は長期(5年以上と言われる)に渡り金額が巨額(100億円を超えると予想されている)になってきていることから、損保が不正に気付かないのはおかしいと考えられます。損保は車両保険事故を多数扱っており、1台当たり4万円とも言われる水増し金額は、統計上異常値として社内で把握されます。それが見過ごされてきたということは、これを上回る利益が損保側にあったことになります。案の定この構図が明らかになっています。

損保は長年BMに出向者を出しており、事故車修理紹介(獲得)と自賠責保険紹介(獲得)をバーター取引していたとのことです。損保の事故車修理紹介1件につきBMは自賠責保険5件を紹介する取り決めになっていたようです。損保からの出向者はこれの交通整理をしていたものと予想されますが、これ自体はそう問題になる行為ではないと思われます。その後BM側で修理代金の水増し請求が始まり、当初は出向者も気付かなかったでしょうが、程なく本社で保険請求額をチェックする部門から請求額が異常に多いことが指摘され、何か不正が行われていることを認識する至ったと思われます。そこでひそかに調査すると車両を傷付けて修理箇所を増やすなどのことが行われていることが分かり、出向元に報告を上げていると思われます(調べなくともアジャスターなら保険請求書を見ればどういうことが行われているか想像がつく)。これを放置したのは、BMから多くの自賠責保険の紹介を受けており、BMが水増し請求する保険金額より、紹介を受ける自賠責保険の保険料が魅力的だったためと考えられます。保険金は保険料から支払われており、支払原資が足りなくなれば保険料を上げればよく、損保は何ら損をしません。そのため利益面では損保には水増し請求を阻止する動機はありません。損保が水増し請求を阻止する動機は、保険契約引受者および保険運営者としてのモラル・倫理・道徳・規範というものになります。とりわけ出向者を37名出し、シェアも大きかった損保ジャパンにはこれが欠けていたことになります。

本件は詐欺罪として立件されると思われますが、損保ジャパンがBMの不正請求を認識していた場合、損保ジャパンは「騙されて保険金を支払った」わけではないことから、BMの損保ジャパンに対する詐欺罪は成立しません。この場合警察(検察)は保険契約者に対する詐欺罪として立件することになるように思われます。そうなると損保ジャパンはBMの共犯という立場になりますし、損保ジャパンが保険契約者を騙して保険料を騙し取った(上がった保険料分)という事件構成もできます。

多分今後損保ジャパンは不正請求された保険契約者から詐欺で告訴されると共に民事では損害賠償を求めて集団訴訟が提起されることが考えれます。同時に損保ジャパン経営陣は善良なる管理者の注意義務を怠ったとして株主からも損害賠償を求められると考えらえます。

こうなると損保ジャパンに損害保険営業の免許を付与し続けることは困難であり、損保ジャパンには金融庁から免許取り消し処分が下され、廃業に至ると予想されます(ただし今の金融庁にこれが出来るかの問題はある。)。尚、損保ジャパンが持つ保険契約は東京海上日動や三井住友海上に引き継がれますから、損保ジャパン廃業の保険契約者への影響は軽微です。