住友化学大赤字で十倉経団連会長は辞任すべき
住友化学が11月1日に発表した2023年4〜9月期決算は、売上収益が前年同期比22%減の1兆1,868億円、最終損益が763億円の赤字(前年同期は810億円の黒字)となり、この結果2024年3月期の最終損益は950億円の赤字(前期は69億円の黒字)となる見通しとのことです。これに伴い十倉会長と岩田社長は役員報酬の月額10%を11月から5カ月間自主返上すると発表しました。巨額赤字の最大の原因は石化製品の落ち込みで、通期で750億円の赤字の予想とのことです。更に気になるのが医薬子会社の住友ファーマの業績です。住友ファーマが10月31日発表した2023年9月中間決算では、売上高が前年同期比52・2%減の1,526億円、純損益は677億円の赤字(前年同期は72億円の赤字)となっています。この要因は 北米でのラツーダ(抗精神病薬)の販売額が前年同期の1,276億円から今期は40億円に激減したことです。期待できる新薬も無いようですので、会社存続の危機にあるように思えます。
こう見てくると住友化学自体が経営危機状態と言えます。同社の十倉会長は経団連の会長でもありますが、バリバリの消費税引き上げ論者として知られています。9月19日の会見では、政府が年末までに議論する少子化対策の財源について「若い世代が将来不安なく、安心して子どもを持つには全世代型の社会保障改革しかない。それには消費税などの増税から逃げてはいけない」と述べています。
一方消費税増税の前に、富裕層の所得税負担が実質的に軽いなど、不公平とされる税制を正すべきだとの指摘に対しては、来年度の税制改正要望で応能負担や所得の再分配といった公平な税を目指す提言は一切なく、消費税増税の検討の必要性だけ触れています。これに対してネット上では十倉会長に対する反発が渦巻いていますが、今回の住友化学の経営危機で十倉会長が消費税増税に積極的な背景が分かりました。日本の税収が伸びないのは、1990年代初めのバブル崩壊以降GDPが横這いで伸びていないためであり、日本の財政問題を根本的に解決するにはGDPの倍増を目指す必要があります。世界の多くの国のGDPはこの30年の間に倍増以上になっており、日本も決して不可能ではありません。しかしこの目標は住友化学のような経営危機にあるような企業のトップが掲げられる目標ではありません。十倉会長が言い出したら会員企業の経営者から笑われてしまいます。そのためどうしてもGDPは伸びない前提で考えますから、新しい財源は経営者などの富裕層に最も影響が少ない消費税増税に求めることになります。住友化学のような経営危機の企業から経団連会長を出すのは、病人が日本有数の企業団体のトップを務めるようなものであり、経団連が不健康な状態となります。経営危機に瀕した企業に属する経団連会長は速やかに交代すべきだと思われます。