福岡市の特徴は「ゆるさ」

福岡市(福岡)は全国でも活気がある都市です。福岡の中心地天神を歩けば分かりますが、若者が多いです。たぶん渋谷並みです。それもそのはずで15~29歳の人口比率(若者率)は17.6%と全国一だそうです。天神の町では今ビルの建て替えラッシュで町が大きく作り替えられようとしています。まるで1980年後半バブル期の東京のようです。

福岡に若者が多いのは福岡県内と九州各県から若者が集まってくるからです。大学や専門学校進学が多いようです。またデパートや専門店、飲食店も多く、若い女性の職場が多くなっています。以前福岡の住民の中で「福岡は日本のブラックホール」という言葉が一部で言われていたようですが、それは違います。東京との間の転出入をみれば転出超過になっており、やはり東京との関係では全国と同じく人を吸い取られています。ただし「福岡は九州の若者のブラックホール」とは言えると思います。

福岡は支店都市でもありますが、福岡勤務となった人は大抵福岡が好きになります。なぜかというと福岡は東京と比べてあらゆるものが「ゆるい」からだと思われます。この「ゆるさ」の内容は、通勤の短さであり、住宅費や食費の安さであり、競争の少なさなどです。そのため仕事や日常生活での人間関係がぎすぎすしていません。それが東京からの転勤者が居心地の良さを感じる根本的な原因です。

この「ゆるさ」は良いことばかりではありません。競争が少ない結果、所得も少なくっています。福岡県民の平均所得は全国30位程度と全国平均を下回ります(これでも九州トップ)。福岡市民の平均所得も全国の大都市の中で低い方だと思われます。最近人口で追い抜いた神戸市民の平均所得と比べると8割程度ではないでしょうか。1人当たり資産で比較すると6割くらいだと思います。福岡には大きなメーカーの工場がなく、雇用の中心は小売業となりますから、若い女性やパートが多く所得を引き下げています。現在福岡は国際金融都市を目指し海外の金融機関を誘致していますが、海外金融機関の雇用力は大きくなく福岡の所得増加への影響はわずかです。

このままでは、福岡は若者が多く楽しい町だけど決して豊かではない町で終わってしまいます。福岡の経済力を引き上げるには学術の発展が不可欠ですが、福岡の学術は東京の7掛、京阪神の8掛のレベルと考えられます。これを東京の9掛レベル(京阪神レベル)まで引き上げないと福岡と東京および京阪神との所得格差は縮まらないと考えられます。学術レベルを引き上げるには、福岡の最高学府であり九州の最高学府である九大を上回る大学や研究機関を誘致する必要があります。理化学研究所や早大および慶大の九州校(キャンパス)を誘致することが考えられます。例えば早大や慶大の九州校を誘致すれば、司法試験や公認会計士の合格者数が増えることが期待できます。こうやって学術レベルを引き上げていかないと福岡は「ゆるい」町で終わってしまいます。