岸田首相今なら創価学会に入会しそう
創価学会の池田大作名誉会長が11月15日に逝去されたことを受けた岸田首相の行動が話題を呼んでいます。岸田首相は11月18日、自身のXに「池田大作氏の御逝去の報に接し、深い悲しみにたえません」と哀悼の意を投稿しましたが、これには「自民党総裁」とともに「内閣総理大臣」岸田文雄と記載されていました。また11月19日には東京信濃町にある創価学会本部別館を弔問に訪れていますが、これも内閣総理大臣としての訪問と言われています(共同通信)。
これについてネット上では、
《政教分離の原則をなげ捨ててるじゃん》、《政教分離できずに脊髄反射でポストする総理の政治力低過ぎ》、《政教分離を無視して、誰に向かってアピールしたいのでしょうか》、《政教分離のはずなのに、選挙協力してもらったからですか? 》などの批判コメントが溢れているようです。
ネット上の批判の根拠は憲法20条です。
第20条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。 いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
池田大作氏は創価学会という宗教団体のカリスマ指導者であり、創価学会の政治団体が自民党と連立を組む公明党です。従って憲法20条を素直に読めば、公明党は憲法違反の団体であり、自公連立政権は違憲政権ということになります。そして岸田首相がSNS上に哀悼の意を投稿する行為や弔問は、憲法20条第3項の宗教活動に該当する可能性があります。そのため、これまで宗教団体の指導者が亡くなった際には首相が弔意を表したり弔問することは控えてきました。ただし中曽根首相や小泉首相は政治信念と称して靖国神社参拝を繰り返しており、そのたびに批判がありました。このことは岸田首相や官邸スタッフも十分分かっていたはずであり、分かっていながら強行したことになります。
ただし今回の岸田首相の行為については、「憲法は宗教団体に特権を与えないことを規定している。宗教団体は政治上の権力を行使してはならないということだ。今回のケースは、その範囲には入らない“社会的な儀礼”と考えていいだろう。最高裁もこれは憲法に違反しないと言っている。弔意だからセーフという感じはある」という宗教学者島田裕己氏の見解が妥当であり、現実的にはたいした問題ではありません。
そうであっても支持率がダダ下がりの中でこういうことをすればまた支持率が下がることが分かっていながら岸田首相が敢えてこういうことをした背景が注目されます。
それは創価学会が岸田首相の命綱になっているからです。最近の岸田政権の支持率は新聞各紙とも20%台であり、最低は21%です。この傾向を見ると12月の調査では20%を切り、15%程度まで落ちると予想されます。こうなると自民党議員の多くが次の総選挙で落選することを心配して岸田降ろしに走り、政権を維持できなくなります。そんな自民党議員も創価学会の支援がないと当選できない議員が多いことから、創価学会が岸田首相を支持すれば面と向かって岸田降ろしに動けません。
今年の夏頃以降岸田首相は公明党に譲歩を繰り返しており(衆議院の東京29区、埼玉14区、愛知16区を公明党に譲ることが確定)、最近突然言い出した減税も公明党の現金給付の要請を形を変えて受け入れたものと考えられます。というのも公明党は2020年に国民一律10万円の現金給付を実現し、前回の参議院選挙の前にも現金給付を言い出しました。公明党にとって現金給付は創価学会員の公明党に対する献金へのお返しであり、会員以外にも人気があることから集票対策として味を占めています。2020年の現金給付では安倍内閣が閣議で「必要な人に必要な額を支給する」と決定していたのに、公明党はその頃告示された衆議院補選で創価学会の投票がないと自民候補が当選できないのを利用して国民一律10万円支給に変更させました。このとき「必要な人に必要な額を支給する」案を推進したのが当時の岸田政調会長であり、これが土壇場でひっくり返されたことで岸田政調会長は大恥をかかされました。これがあり岸田首相は公明党の現金給付案を拒み(低所得者への現金給付案は飲んだ模様)、減税案に拘っていると考えられます(現金給付案が早いし問題になる余地が少ない)。
このように少しは公明党に抵抗している岸田首相ですが、国民の支持率が低い中では約600万票の創価学会は命綱と言える状況です。今なら創価学会幹部が折伏したら岸田首相はあっさり創価学会に入会するかも知れません。