パー券不正捜査、検察お得意の司法取引で終わり
東京地検特捜部が自民党安倍派と二階派の派閥事務所を捜査するとともに安倍派の幹部数人に任意聴取したという報道です。これを持って検察は本気だという報道が多いですが、これは政府と検察が書き上げたシナリオに沿って進められています。その証拠に事前に派閥事務所の捜索情報や任意聴取を予定する安倍派幹部の名前まで報道されています。これは検察か政府の幹部が意図的にリークしていると考えられ、ある結末に着地させようとしていると考えられます。
考えられるシナリオとしては、安倍派の会計責任者とキックバック金額が大きい(4,000万円以上?)安倍派議員を政治資金規正法違反で略式起訴し、その他の議員はキックバック金額が小さいとして不起訴にすることが予想されます。キックバック金額が大きいと政治資金収支報告書を修正していても入金が確認されない(現金帳簿に記載がないことや入金伝票がないなど)ものが出てくると考えられ、政治資金収支報告書の修正が虚偽であると認定できます。この捜査の過程でキックバック分は政治団体に入金せず個人で使った議員も出てくると思われ、この場合は国税に通告し、国税が脱税の調査を開始することになると思われます。今回のような政治資金収支報告書に記載されていないお金、記載されていても入金の事実が確認できないお金は政治家個人の収入とするのが一番分かり安く、政治家に対する抑止力になると思われます。
来年の1月22日になると国会が開会し、議員には不逮捕特権が発生することから、検察はその前に捜査に一区切り付けると考えられます。年内は捜査に集中し、年明けから起訴・不起訴とする議員の線引きが始まると予想されますが、これには政府の関与が予想されます。岸田政権としては2年近く官房長官として岸田政権を支えた松野前官房長官は何としても助けたいでしょうから、検察に不起訴を働きかけると思われます。萩生田前政調会長や西村前経産大臣も同じです。働きかけなくてもこの3人はキックバック金額が大きくないことから、起訴されないと考えられますが、一応起訴しないよう働きかけると思われます。岸田政権に貢献していない議員については、検察にお任せです。政治資金規正法違反が軽微な犯罪であるため、検察としては政府の要請を配慮しても検察内の反発は少ないことから、政府に貸しを作る絶好の機会となります。検察はゴーン逮捕で司法取引を利用して以来、司法取引が使えない事件でも司法取引同様のことをやっており、司法取引はあらゆる刑事事件で使われていると考えられます。河合克行・案里夫婦の選挙違反の捜査で、東京地検特捜部の検事が資金を受領した地方議員らに対して「買収資金と分かっていて受領したと認めれば悪いようにはしない(起訴しない)」とほのめかして供述を引き出したことが問題となり、最高検が調査を行いましたが、「不適正であったが違法性はなかった」と結論付けています。この取り調べを行った東京地検所属の検事は、ゴーン逮捕で最初に司法取引を使うという実績を作った特捜部長で、違法捜査の当時東京地検次席検事を務めていたM検事の配下であり、M検事は現在最高検の刑事部長を務めていますから、最高検が広島の取り調べを違法捜査と認定するわけがありませんでした。検察庁では出世コースに乗ると悪いことをやっても誰も処分できないことが分かります。今回のキックバック問題でもM刑事部長が大きな権限を持っていると考えられるため、大胆な司法取引が行われそうです。最高検刑事部長と言えば就任に政府の審査(承認)が必要な高検検事長に近いポストであり、政府と司法取引するメリット大です。司法取引は結局出世との取引です。