大学無償化は職業教育と一体化しないと

政府は子ども3人以上の多子世帯を大学無償化の対象とする方針を発表しました。岸田首相が重要政策と位置付ける少子化対策の一環としていますが、3人目から大学無償化になるから子供を3人持とうと考える人などいないことは自明のことであり、真空(心空)総理の本領発揮と言える政策です。

大学無償化については、大阪府が大阪公立大学、東京都が東京都立大学で所得制限なしで実施しようとしていますが、大変無駄が多いと思われます。多分大学を卒業した人の多くが大学に行った価値をそんなに評価していないと思われます。大学に行った価値を認める人は、医師や弁護士、公認会計士、弁理士、技術士などの大学に行かないと殆ど取れない資格取得者や難関大学に合格するために懸命に勉強したことが仕事に役立っている一部の人だけだと思われます。結局大学行って良かったという判断は、大学に行ったことが仕事で役立っているかどうかにかかっており、学卒という学歴はほとんど意味がなくなっています。

そう考えると無償化する大学は、医師、弁護士などの資格をとるための大学(学部)、仕事で使える技術が身に付く大学、または難関大学トップ10校くらいでよいことになります。それ以下の大学(普通大学)は自己負担で行けばよいのです。この結果お金持ちの家庭の子供だけが普通大学に行き、貧しい家計の子供は普通大学には行かないことになりますが、普通大学に行ってもお金持ちにはなれないことから問題ないと考えられます。

大学無償化の前には中学無償化(実質的には私立中学無償化)と高校無償化が行われると考えられますので、貧しい家庭の優秀な子供も私立中高一貫校に行き、資格取得に繋がる大学や難関大学に進学する道が開かれます。それと同時に今の工業高専のような職業に通じる5年制の高等専門学校(高専)をいくつか用意します。例えば医者や薬剤師など医療従事者になるための医学高専、弁護士など法曹従事者になるための法曹高専、公認会計士や税理士などの会計専門家になるための会計高専などです。中には高専在学中に弁護士や公認会計士に合格する生徒も出てくるかも知れませんが、多くは4年生(場合によっては2年で卒業可)大学に進学して、これらの資格を取得することになります。こうした方が普通高校から大学に進学するよりも仕事に役立つ技術が身に付きます。また高専を卒業後就職し、就職後大学に進学することも可能とし、この場合も大学無償化の対象とします。この結果これまでの大学卒に期待されていた一般教養が欠落するという危惧がありますが、仕事の技術が身についていないのに一般教養が身に付くということはありません。一般教養は仕事をしながら身につけるものであり、仕事しながら一般教養身に着ける(豊かにする)ために大学に行く(放送大学や通信教育など)という選択も出てくると思われます(これは自己負担)。

予算が限られている中、1人1人の人生に有益な大学無償化にする必要があります。