岸田首相が次に繰り出すのは「裏金議員は公認せず」

自民党安倍派の裏金事件により自民党は、1月4日政治刷新本部を設置しました。また国民向けのポーズだろうと思っていたら、派閥解消という思いがけない方向に展開しています。安倍派だけならまだしも、首相となっても宏池会会長を辞めなかった岸田首相が宏池会解散を言い出したのはサプライズでした。岸田首相は総裁選出馬に当たって二階幹事長の続投阻止を狙った役員任期制を言い出しており、割と勝負師なのかも知れません。岸田首相にこんな大勝負に出られたため、安倍派はもちろん二階派も解散せざるを得ず、森山派、谷垣グループが続きました。麻生派と茂木派は、裏金問題はないとして政策グループとして存続する方針のようですが、存続できるか怪しい状況となっています。

茂木派が存続するのなら、茂木幹事長は岸田首相の方針に背くことになりますから、幹事長交代が必要となります。岸田首相が派閥解散の方針を示し、多くの派閥が解散した中で岸田首相と二人三脚でなければならない幹事長が自派を解消しないでは済みません。麻生派も解散しないようですから、茂木幹事長は麻生副総裁の盟友(子分)と言えますから、麻生副総裁(辞任)と共に岸田首相と対立する立場となることになります。

そうなると小渕選挙対策委員長も辞任だなと思っていたら、小渕委員長は茂木派を退会する方針を示したということです。森元首相や青木元参議院幹事長に守られたお嬢様かと思っていたら、政局感もあるようです。これで茂木派は茂木幹事長を支持する鼻持ちならない議員のグループだけが残り、弱体化すると思われます。そうなると茂木幹事長は茂木派解散を決断せざるを得なくなると思われます。残る麻生派も単独で存続するのは党内で孤立することになることから、結局解散することになりそうです。そのきっかけは河野太郎大臣が作るような気がします。河野大臣にしても麻生氏が自分を総裁候補になかなか推挙してくれないことから、不満が蓄積してきており、このまま麻生派に留まることは予想できません。河野大臣の後ろ盾は今では菅元首相であり、こちらの方が多くの応援を得られると考えられます。よって河野大臣が麻生派を退会する可能性はかなり高いと思われます。そうなると麻生会長は高齢だし、次のリーダーも見当たらないことから、結局解散するしかなくなります。

多くの派閥が解消すると次の総裁選では派閥が押す候補がいなくなり、岸田首相の対抗馬がいなくなります。これも岸田首相が宏池会解散に踏み出した理由のような気がします。岸田首相の下で解散や任期満了総選挙を実施する場合、岸田首相が繰り出すのは、今回裏金問題の当事者となった議員を公認しないことです。そもそも法律を作った議員が法律を意図的に守らなかったのですから、議員の資格はなく、公認される資格もありません。公認したら、裏金作りは自民党が公認していたことになります。これをやれば有権者の中には「岸田さんなかなかやるな、もう1回チャンスをやるか」と考える人が増えます。自民党は不人気でも大勝した小泉首相時代の郵政民営化選挙に似た構造を作り出せます。追い込まれたら不思議と勝負手を繰り出す岸田首相ならあり得ます。