高血圧なら内科でなく循環器科を受診する

私は若い頃から高血圧でした。高血圧に気付いたのは大学の健康診断のときでした。下が90以上、上が140以上ありました(正常値は現在下が80未満、上が130未満。当時はもっと高かったから異常に高いレベルではなかった)。それでも日常生活には全く影響なかったことから何の治療もしないまま長い間生活していました。これは何らかの治療が必要だと思ったのは、55歳頃です。私は当時会社を早期退職し、自宅で好きなこと(中国語やプログラミングの勉強)をしていました。1日中の大半をPCの前で過ごし、夕方になるとジョギングに行くのを日課にしていました。ある時期から夕方になると疲れてきて頭が重い、胸が圧迫されるようになりました。これは血圧が高いせいかもと思い、血圧計を買って来て測るようになりました。そしたら昼間は下が80台、上が130台とまあまあだったのですが、夕方になると下が90以上、上が145以上に上がるようになりました。大体下が95以上、上が150以上になると気分が悪くなることが分かりました。そこで病院で血圧を下げる薬を処方してもらうことにしました。最初に行ったのが内科の看板を掲げる開業医でした。そこでは血圧を測定し高いことを確認してから、アムロジピン(含有量5mg)という降圧剤をくれました。これはカルシムイオンが血管壁の通り道(カルシウムチャネル)を通る際に血管が収縮し血圧が上がることから、この通り道をカルシウムイオンに似せて作ったアムロジピンが先回りし塞ぐことで、血圧の上昇を防ぎます。ただし血圧上昇の原因は血管の収縮以外にもいくつかあることから、これで正常値まで下がるかどうかは分かりません。私の場合はこれで夕方でも下が80台、上は130台に下がりましたが、当時の正常値は下が80未満、上が130未満だったことからもう少し下げようと言うことになり、テルミサルタンという薬が追加されました。これは腎臓にあるアンジオテンシンⅡ受容体に結合することで血管を収縮させ血圧を上げる作用がある体内物質アンジオテンシンⅡに先回りして結合する化合物で、これにより血圧は上がらなくなります。これでも正常値まで下がらない場合は、別の血圧が上がるメカニズムに作用する薬を追加します。だから高血圧の人は飲む薬が増えていきます。これらの薬の処方順序はだいたい標準化されていますので、どこの医者に行っても大体同じような処方をするようです。私の場合はこれで正常値まで下がったのでこの2種類で終わりましたが、今後上がったらまた別の薬を追加すると言われました。

私は心臓に欠陥(正常でない点)があるから血圧が高くなるのではないかと思っていたのですが、この医者では薬はくれてもこの疑問には答えてくれませんでした。そこで近くの心臓が専門の循環器科の病院(50床程度の入院病棟がある)に行くことにしました。そこに行って高血圧の治療なら循環器科の専門医にかかるべきだと思いました。そこでは胸部CT撮影、心電図検査、心臓の超音波検査が行われました。そこで分かったことは、

1.胸部CT撮影の結果から

・心臓の大きさは肺の半分以下であり心臓肥大ではない(心臓が肥大すると収縮拡大運動ができなくなり心不全の状態となる)。

2.心電図検査から

・心電図の波形が正常なものと異なっており、不整脈がある。

3.超音波検査から

・心室(心臓の下の区画)から心房(心臓の上の区画)への血液の逆流を防ぐための弁に緩みがあり、心室から心房に血液が少し逆流している。

・心臓の外壁となる心筋の厚みが正常より3~4ミリ厚くなっており、心臓に負担がかかっている。

と言うことでした。最後の項目については血液検査でBNP(脳性利尿ペプチド)という値を見ればわかると言うことでしたので、検査しました。その結果BNPの正常値は40pg(ピコグラム)以下のところ、私は200pg近くあることが分かりました。この数値は治療した方が良いレベルということで(500pg以上だと心臓肥大でいつ心不全で死亡してもおかしくない状況)、心臓保護作用がある薬(カルベジロール)の服用を勧められました。そこで服用を始めたら半年後の6月頃から咳が出始めました。夏風邪かなとも思ったのですが、治る様子がないので担当医にカルベジロールの副作用ではないかと確認しましたが、担当医はそれはないとのことでした。その後も咳が止まらなかったので、副作用を疑いネットで調べてみました。そしたら呼吸器科医のサイトでカルベジロールは喘息患者では禁忌(使用禁止)になっていることが分かりました。気管支の血管を収縮させる作用があり、咳がひどくなるとのことでした。私は喘息の経験はないのですが、肺が強くなかったため咳が出たようでした。カルベジロールに心臓保護作用(アドレナリンなどの作用を弱め心臓を刺激しないようにする)があるのは事実なので、循環器科の医者はよく処方するようですが、呼吸器科での取り扱いについては知らない人が多いようです。私は自己判断でカルベジロールの服薬は中止しました。

循環器科にかかったおかげで私の高血圧の原因が見えてきました。現在は血圧も正常値で毎年上記のような検査を受け取り、心臓をコントロールできている感じがします。高血圧なら循環器科の受診がお勧めです。