地震で分かった民度でも台湾に抜かれている

2024年4月3日に台湾の花蓮市でマグニチュード7.7(日本の気象庁基準)の地震が発生し、死者13名、負傷者1,000人以上の被害が出ました。能登地震がマグニチュード7.6ですから、ほぼ同規模の地震となります。その割には花蓮では被害が小さかった印象です。

花蓮の地震で驚いたのは、整然とした対応でした。まるで準備万端だったように被災者救済体制が動き出していました。避難所の体育館にはプライバシーを守るための家族用テントが整然と並べられ、飲食物が豊富に揃えられていました。能登での毎度同じみの床にごろ寝、飲食物が足りない状況とは大違いでした。シャープが鴻海に買収され、熊本にTSMCが工場を作るなど工業面では台湾に追い抜かれた印象がありますが、民度でも追い抜かれているような印象を受けました。

日本では1995年に神戸地震、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、そして2024年能登地震と5~8年間隔で大きな地震が起きていますが、その地域の問題として処理され、全国で使えるシステムになっていません。その結果地震が起きた地域では初めての体験であり、バタバタすることになります。台湾の場合、地震が花蓮市周辺で多いことから、花蓮市が普段から地震に備えていたということがあるようですが、日本で神戸市や仙台市、熊本市が花蓮市のような体制を作っているかというと、そんなことは無いと思われます。たぶん元の木阿弥状態ではないでしょうか。これらの都市が大地震に見舞われるのが100年に一度くらいであることを考えると仕方がないことでもあります。

そこで私は以前から道州制のエリアごとに自然災害即応センターを置き、地震などが起きた際に花蓮市のような対応ができる体制を作るべきだと提案しています。各都市や県で花蓮市のようにテントや飲食物などを保管しておくのは無駄も多いので、各ブロックでこの機能を持てばよいことになります。日本に8つくらいの自然災害即応センターを置けば、要員や備蓄を少なくできます。

体育館でのテントについては、同じく地震が多いイタリアで始まったようで、日本政府も知っていたようです。それが台湾で導入され、日本で導入されていないところに日本の後退を痛感させられます。日本は国民1人当たりGNPや年収で韓国に抜かれていることは周知の事実ですが、台湾にも今年中に抜かれると言われています。花蓮地震がそれを確信させたような気がします。

尚台湾からは東日本大震災の際には約250億円、能登地震の際には約25億円の義援金が寄せられています。約250億円と言えば、台湾の人たち(約2,342万人)が1人1,000円募金したことになります。日本人(約1億2,397万人)が台湾並みに1人1,000円募金すれば1,250億円くらいの募金額になります。日本人の底力を見せるときだと思われます(私も人生で初めて募金しました)。