公立学校教師の働き方改革に必要なこと

公立学校、とりわけ小中学校の教員の確保が難しくなっているようです。それは、これらの教員の業務が多忙を極めるからのようです。小学校教員は全科目教えますから、空きの時間がありません。かつ休み時間も何らかの問題が生じますから、気が休まりません。それに子供同士のトラブルがあると親が介入し、こちらへの対応もあります。中学校は教科担当制で少しは空きができますが、進学の問題が出てきますから、授業の質が問われてきます。またクラブ活動の顧問を依頼されることが多くなり、終業後や休日も潰れることが多くなります。この場合でも教師には残業が付かないとのことで、ただ働きさせられているとの不満につながっています。

教員に残業が付かないのは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)によって、「時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」と明文化(給特法第3条2項)されているからですが、これを正当化するために教員の給与には月8時間の残業代に相当する金額(月4%。教職調整額)を上乗せしています。

この金額が実態と乖離していること、および業務量が残業してもこなせなくなっていることが教員の不満を高めているようです。月何十時間も残業しないと業務をこなせないのが実態なのに月8時間の残業代しか支給しなければ、民間の会社では労働基準法違反であり、教員以外の公務員でも不当労働行為に該当します。それが日本の社会で教員だけに許されているのは不条理であり、教職は法律が認めたブラック職業だと言うわけです。

この主張はもっともであり、否定する方が難しいと思われます。最近文部科学省の中央教育審議会(中教審)の特別部会は、教職調整額を現在の月4%から月10%に引き上げる案を策定したようですが、教員の間ではこれにも不満は多いようです。それは、

・多い人はこんな残業代では収まらないこと

・残業しない人にも適用され不公平であること

・業務量過多の問題にメスを入れないと根本的解決にならないこと

を理由とします。ヤフコメを見ると最後の主張が一番多いようです。

そこで教員の業務量過多の問題を解決することが必要になりますが、その方策として次のことが考えられます。

  1. 私立の小中学校を増やし、公立小中学校の教員が担当する生徒の数を減らす。

・公立学校の最大の問題点は、能力や家庭の経済力が大きく異なる子供を同列に教育することです。顕著な能力のある生徒や経済力のある家庭の子供は、私立の小中学校に進むようこれらを増やせば、公立学校教員の負担が減ります。

・私立小中学校も義務教育であることから、国や自治体が施設整備費を拠出し、授業料も無償化します(ただし、私立独自の付加教育費用は保護者負担)。

・私立小学校は学校全体の10%、私立中学校は20%が目標。これを超えると私立小中学校にも公立学校と同じ問題が発生します。

  1. 小学校も教科担任制を導入し、同じ授業は各教室にオンライン配信する。

・特に公立中学・高校では、教師が同一学年の別のクラスで同じ内容の授業を行う場合が多いので、これを同一時間帯に1つのクラスで授業を行い他のクラスにはオンラインで配信する形式に改めます。これで教師の授業時間を大幅に少なくできます。

・この結果騒ぐものや居眠りするものも出てきますが、それは仕方ないでしょう。自己責任です。やる気のある生徒、能力のある生徒とそうでない生徒のクラス分けも重要となります。

  1. クラブ活動は外部指導者、専任教師または地域クラブ活動に移行する。

・これは今ある流れです。

このようにして公立学校が担当する生徒の数を減らし、同じ授業は1回だけ(オンライン配信)にすれば教員の業務時間はぐっと少なくなります。こうして教員の業務量を減らさない限り教員不足は解消しません。