福岡県の最大の強みは北九州工業地帯があること

福岡県は人口約510万人で、都道府県単位で見ると日本第9位の自治体です。福岡県と聞けば多くの人が福岡市=博多をイメージすると思います。福岡市は人口約157万人で、東京23区を除くと日本第5位の人口を誇り、大都市の中では15歳から29歳までの若者の人口比が一番高く、今日本で最も若々しく勢いがある都市かも知れません。当然、この福岡市があることは福岡県の強みである訳ですが、他府県との比較で言えば、北九州工業地帯があることが最大の強みだと思います。福岡市は、流通、サービス業が中心であり、札幌、仙台など地方ブロックの拠点都市と同じような産業構造です。これが賑やかさや華やかさを作り出し、それを求めて人が集まっているのですが、都道府県を国家と見た場合、これだけでは独立国家としては機能しません。やはり豊かな国家には、0から物を作り出す製造業の存在が必要です。製造業は、大きな雇用力を持ち、都道府県の足腰の強さになっていると思われます。昔四大工業地帯の1つと言われた北九州工業地帯があることは、福岡県の強さの源泉になっています。(今は北九州工業地帯という言い方をしているか分かりませんが)。

全国を見回しても、工業地帯と言われる地域を持つ都道府県は多くありません。工業地帯を持つ代表的な県は愛知県で、臨海部には鉄鋼や化学工場が位置し、内陸部にいくとトヨタを中心とした自動車工場群、さらには三菱重工業などのロケット、航空機製造業があり、広範な製造業が位置しています。私は、愛知県こそ日本最強の自治体であり、独立国家としてもやっていけると思います。東京都は、昼間の人口の多くが神奈川・千葉・埼玉の住民であり、この4都県の連合体として見るべきだと思います。

その他の都道府県では、大阪府、千葉県、兵庫県が工業地帯を持っていると言えると思います。これらの府県は、工業地帯を基盤として、いずれも福岡県を上回る人口を抱えています。

北九州工業地帯は、全国で見てもしっかりした工業地帯です。以前は京浜、中京、阪神、北九州を四大工業地帯と言っていたように思いますが、今では京浜工業地帯のうち東京や横浜、川崎の臨海部からは工場が移転し、京浜工業地帯とは言えない様相になっています。しかし、東京には企業の本社機能が集中し、そこに勤める人たちの消費支出が活発なので、影響は出ていません。関西では、大阪府や兵庫県の南側の臨海部はいまだ工業地帯の様相を呈しており、大阪市、神戸市の雇用基盤になっていると思われますが、かなり衰退が進んでいます。

北九州工業地帯は、最近工場の撤退が相次ぎ、北九州市の人口が100万を割る状態になっていますが、尚、開発・設計・試作・製造まで一貫してできる機能を有しており、今なお日本有数の工業地帯と言えます。これから新たにこのようなエリアを作り出すのは不可能であり、北九州工業地帯は貴重となります。福岡市は放っておいても当面発展するので、福岡県としては、北九州工業地帯の維持、発展に全力を注入すべきだと思います。