新聞、一般紙は成り立たない?

日本新聞協会の販売部数の統計では、大きく一般紙・スポーツ紙に分けており、いずれも大きく部数を減らし続けています。そのうち一般紙は2000年の47百万部から2017年には約39百万部へと約18.2%も減らしています。世帯数は核家族化の影響で2000年の約47百万世帯から2017年には56百万世帯に増加していますので、世帯購読率は約100%から68.9%と約31%も落ちているのです。従って、国民に等しく情報を与える手段だとして消費税2%引上げが免除されていることは、税の公平性からおかしいことになります。情報を取得する手段はほかにたくさんあるわけで、新聞だけ消費税2%引上げをを免除することは不公平と言うことになります。

新聞の購読部数の減少を、新聞社はインターネットの影響とみているようですが、これだけではありません。確かに紙の上の活字である新聞の情報が翌日到着なのに対し、ネットはリアルタイムに知ることができるという優位性があります。しかし、新聞も電子版契約を進めていますが、発行部数の減少には追い付きません。即ち、新聞販売部数減少の理由は他にもあると考えられます。

その1つが、携帯電話料金の増大により苦しくなった家計が新聞を止めていることです。最近は企業業績の好調により賃上げも行われるようになりましたが、それは一部の大企業が主であり、国民の大部分が従事する中小企業までは及んでいません。携帯電話3社の2017年度の決算を見ると売上高約13兆円、営業利益2兆6000億円、営業利益率約20%です。いつの間にか家計から13兆円も吸い上げていたのです。それもそれだけコストがかかれば仕方ありませんが、この営業利益額と営業利益率を見れば、公益事業にあるまじき国民収奪ぶりです。それは公益事業の代表ともいえる電力事業9社の2017年度の決算は売上高19兆円、営業利益9800億円、営業利益率約5.0%だったことと比較すれば明確です。

このように携帯電話3社が無分別に家計からお金を吸い上げた影響が他の分野に出ています。例えば、スーパーの売上は振るいませんし、ビールの販売も減少しています。最も影響を受けたのが新聞です。携帯電話料金が増えた分家計の支出を減らすには新聞を止めるのが一番見合うのです。実はこれが新聞の販売部数が減少しいている最大の原因かも知れません。

また、一般紙の場合、政治・経済・社会・文化・海外と内容が多様であり、新聞購読者が欲しくない情報が多い、即ち無駄なお金を払っている感が強いということもあると思います。これは昔の日本の総合電機メーカーの状態に似ていますし、効かない患者に処方するからこそ儲かる医薬にも通じるところがあります。日本経済新聞は一般紙に分類されていますが読者の中では朝日、読売、毎日などの一般紙に対して経済専門紙の認識です。これは企業に勤めるサラリーマン必読であり、携帯電話料金が増大しても止めようとはなりません。また電子版への移行が一番進んでいると思われます。一般紙は、専門紙化を図らないと生き残れないのでないでしょうか。