ゴーン事件、もう収束するとき

ゴーン容疑者が逮捕されてから2か月経ちます。報道されている事実(これも怪しいけど)からすると、ゴーン容疑者の有価証券虚偽記載の容疑は明らかに無罪だし、特別背任の容疑は、証拠不十分で無実です。

今回のゴーン容疑者の逮捕には、司法取引の負の側面が余すところなく出たと思います。即ち、刑事責任を問われるかもしれない司法取引の対象者は、責任を逃れるために、ある人に全責任を押し付けるということです。ゴーン事件の場合、そのある人がゴーン容疑者だったのです。確かに、ゴーン容疑者は、強欲な経営者ではあります。また、法の抜け道を探して巧みにすり抜ける狡猾な経営者でもあります。しかし、逮捕するような犯罪行為はしていません。

今回の事件のようなことは、企業では割とあることです。そういう場合、企業は、不正を社内で調査し、もし不正が認定されれば損害を弁済させ、懲戒処分をして御仕舞です。損害が弁済されない場合や行為が余程悪質でない限り、刑事事件にはしません。ゴーン容疑者の容疑も、有価証券虚偽記載については、誰にも損害を与えていませんから、逮捕するようなことではありません。特別背任罪については、確たる証拠がありませんし、使われた予算は、ゴーン容疑者に使途が委ねられた予備費です。もし、使途が個人的なものだったと判明すれば、ゴーン容疑者に弁済を求めれば済む金額です。それをせずに検察に司法取引を持ち込むのは、取締役や監査役として求められる任務を果たさなかったことになります。そういう意味で、今回取締役・監査役が司法取引に持ち込んだことこそが背任なのではないかと思えます。司法取引をしていますから、刑事責任は問われないでしょうが、背任により会社に損害を与えたとして、民事責任を問われることがあるのではないかと思われます。

さて、今回の事件では、有価証券報告書虚偽記載では、日産、株主および債権者に損害は生じていません。例え、報酬を後日受け取ることになっていたとしても、正しく書かなっただけです。また、特別背任の容疑が事実だったとしても、その金額は16億円程度です。この金額は、ゴーン容疑者が弁済できる金額です。一方、今回の事件で日産の信用は棄損し、営業の現場は動揺し、販売台数が減少しています。この結果、2月に発表される第3四半期決算は大幅な減収減益が予想されます。このままこの問題が続けば、日産は破滅に向かう可能性があります。よく、困るのはルノーという論調がありますが、本当に困るのは日産です。

1月24日、ゴーン容疑者が辞表を出す形で、ルノー会長およびCEOを辞任したという報道がありました。そろそろ収束させようというルノーからのサインです。このままルノーと日産が対立を続けたら、日産は消滅に向かいます。ルノーは日産の43%の株式を持っており、6月の株主総会でルノー側が全取締役を出す議案を提出されたら、海外機関投資家の賛成を得て、可決されます。そしたら、日産は解体されます。

私が考える解決案はこうです。(非公表とします)

  • 日産はゴーン容疑者に200億円を支払う。*退職慰労金など。
  • 日産はケリー容疑者に20億円支払う。*退職慰労金など。
  • これによりゴーン容疑者およびケリー容疑者と日産との間の法的問題は全て解決されたものとし、今後3者はお互いに一切の法的請求を行わない。
  • これに伴い日産は、検察にゴーン容疑者の起訴を取り下げるよう要請する。