飲料の値上げ、売上減少になるだけ

コカ・コーラが大型ペットボトルの価格を27年ぶりに20円値上げすると言う報道です。これにより、他の飲料メーカーを値上げに動くと言われています。コカ・コーラは同時に700人の希望退職の募集を発表しています。原料代や運搬費、人件費などの上昇で、収益が圧迫されたことが理由のようです。米国では、ペプシコーラが約2750億円のコストカットの為、人員削減や工場閉鎖を行うと報道されており、飲料業界全体で変革に迫られているようです。

合理化は分かるとしても、値上げは売上を減少させ、ひいては事業を更に縮小に導くと思われます。現在厚生労働省で統計不正が問題になっていますが、旧来の統計方法によると昨年度の実質賃金はマイナスということですから、家計もコストカットを迫られています。その中で、次に家計のコストカットの対象となるのは飲料費です。飲料はコーヒーなどの嗜好品を除き、喉の渇きを癒せればよいわけで、全てお茶か水で代用可能です。従って、止めようと思えばいつだって止められます。街中には至る所に自販機がありますが、躊躇なく買えるのは1本100円までです。1本150円を超えたら、普通買わないです。

現在、高齢者を中心に健康補助食品が売上を伸ばしているのにも注目する必要があります。健康補助食品は、医薬品と食品の中間に位置し、科学的データに基づき健康に良いことが裏付けられ、飲んだ人(食べた人)が効果を実感できます。従って、1本(1袋)月3,000円以上しても購入を続けます。この分、飲料費などを削ることになります。

これらの影響は、今後飲料の大きな部分を占めるビールの売上減少をもたらすと思われます。「とりあえずビール」と言うように、ビールはどうしても飲みたいものでもなし、飲まなければならいものでもありません。そして、健康に良いとは言えません。だから、放っておいても自然に減少する運命にあります。しかしこれからは、家計のコストカットと健康指向の2つの影響で、急激な売上の減少に見舞われると思われます。

飲料メーカーが生き残るためには、低価格で大量に提供する体制を築くしか方法がないように思われます。