二階(幹事長)―小池(都知事)ラインに注目

9月11日の自民党役員改選で二階幹事長が留任しました。80歳と高齢であることと強引な派閥メンバー獲得で自民党他派から批判が出ており、交代の声もありました。安倍首相としては、幹事長を外すと次の総裁選びで波乱要因となることから、続投としたように思えます。

今年1月二階幹事長は、旧民主党の細野衆議院議員を無所属のまま二階派に加入させました。細野議員は、民主党時代は幹事長まで務め、将来の民主党党首とまで言われた人ですから、自民党内には激しい反発があるようです。また6月には同じく旧民主党で防衛副大臣を務めた長島昭久衆議院議員の自民党入りを認めました。このように二階幹事長は、他党からの入党に抵抗感がありません。それは自分も新進党に所属した時期があるからだと思います。自民党も新進党も民主党もそんなに差はない、別の党に所属しているのは選挙事情やそのときの考えによるもので、事情が変われば党を変わるのは当たり前と考えているようです。恐るべき許容力です。

これらの動きの背後には、二階幹事長と小池東京都知事の深い関係があるように感じられます。二階氏と小池氏は、共に新進党に所属し、当時の小沢党首の側近で仲が良かったようです。前回の都知事選挙では小池氏が自民党を離党して出馬し、自民党公認候補と争ったことから、2人は敵対関係になりました。しかし、その後小泉元首相を囲む会で同席し、関係を修復したようです。今年の3月、二階氏は自民党幹事長でありながら、来年の都知事選挙は小池知事の再選で良いと述べました。細野議員の二階派入りの2カ月後であり、その後長島議員の自民党入党が続きます。細野議員と長島議員は小池知事と希望の党を立ち上げた結党メンバーでした。そして希望の党が割れた後は無所属を通していました。これを見た小池知事が2人の自民党入党を二階幹事長に働きかけたものと思われます。小池知事は元々自民党であり、知事になって立ち上げた都民ファーストは新しい自民党という存在です。そして希望の党は第2自民党という存在でした。従って、小池知事がしていたことは自民党の翼を広げること、即ち自民党の拡翼戦略だったのです。二階幹事長はこのことを良く理解しており、小池知事とホットラインで繋がっていると思われます。従って二階幹事長は、来年の都知事選挙は当然小池再選で動きますし、小池都知事と協力して、かって希望の党に所属した議員を自民党に入党させると思われます。例えば、現在無所属の柚木道義議員や現在は国民民主党の前原誠司議員、玉木雄一郎党首などです。もし小池知事が知事を辞め衆議院議員となり自民党に復党する場合は、二階派入りし、二階氏は派閥会長を小池氏に譲ることも考えていると思われます。二階―小池ラインに注目です。