ヤフーとLINEの統合は日本の資金を韓国へ流すため?

ヤフーとLINEが経営統合を発表しました。というより親会社のソフトバンクグループ(SBG)と韓国NAVERが両者の統合を決めたと言う方が正確だと思います。この統合の目的は、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)に対抗するためと発表されています。しかし、これについては首をひねる意見も見られます。それは、両者が統合してもそれほど相乗効果は出ないからです。ヤフーは検索やネットショッピングに強く、Lineはほぼメッセージサービスの会社です。これらの業務は統合してもあまり効果はありません。LINEのユーザーをヤフーショッピングに誘い込む効果も余りありません。それはLINEのAmazon利用者がヤフーショッピングに来るとは考えられないからです。同様にヤフーの検索利用者がLINEの利用者になることも余りないと思います。もう既にLINEを利用している人が多いからです。もしメリットがあるとすればキャッスレス決済アプリのPayPayとLINE Payを統合して、決済アプリでのシェアを高めることでしょうか?またヤフー!モバイルとLINEモバイルを統合してMVNOのシェアを高めるということはあると思います。しかし、両者が合併しても劇的に競争力が高まるわけではありません。このように両者の経営統合はよく考えると謎が多いのです。

この統合を両社の財務内容から検討すると不合理さが浮き彫りとなります。ヤフー(Zホールディング)の2019年3月期の決算は、売上高9,547億円、経常利益1,233億円、当期利益786億円です。LINEの2018年12月期の決算は、売上高2,071億円、経常利益33億円、当期利益-37億円です。LINEの2019年6月中間期の経常利益は-284億円と悪化しています(Zホールディングの2019年9月中間期の経常利益は755億円)。この決算内容から見ると、売上高でLINEはZホールディングの約5分の1です。経常利益では1,000億円以上開きがあります。自己資本で見るとZホールディングが8,182億円でLINEが1,989億円ですからLINEはZホールディングの約4分の1となります。これらからは、ZホールディングとLINEの企業価値は4:1~5:1となります。今回の統合ではLINEを親会社である韓国NAVERとソフトバンクが共同でTOBを行い、非上場会社とした後、ソフトバンクとNAVERの持ち株比率が50:50となるよう調整し、これを持ち株会社(旧LINE)として傘下にZホールディングを入れ、Zホールディングの傘下にヤフーと旧LINEから営業譲渡された新LINEが入ることになっています。ということは、NAVERはソフトバンクが持つZホールディング株式(約44%)の半分を手に入れることになります。ヤフーはこれまでSBGの財布のような存在でしたが、これからはNAVERの財布にもなるということです。NAVERにとってはこの上なく妙味のある取引であり、通常は絶対に実現しない取引です。

ではなぜこんな取引が実現したのでしょうか?ここからは穿った見方となります。それは実質的にこの取引を決めたSBGの孫社長の祖国が韓国であり、NAVERが韓国の会社で創業者李海珍氏が韓国人であることが決め手になっていると思います。この関係がなければ絶対に成立していない取引です。孫社長の場合、日本で生まれ戸籍上は日本人だと思いますが、幼少期には親が韓国出身として差別を受けたと思われます。そう言う中で日本や日本人に反発してきたことは容易に想像できます。それがビジネスで日本一の資産家になった原動力であったと思われます。そしてそれはまた祖国愛を強めることにも繋がっていると思います。この点については米国、南米などに移住し、差別を受けて祖国愛を強める日本人と同じだと思います。最近の孫社長の行動を見ると、日本や日本人に対する愛情は全く感じられず、祖国愛を強めている様子が感じられます。例えば、SBGの10兆円ファンド(ビジョンファンド)では日本の企業には1社も投資していないと思います。その理由としては日本にユニコーン企業がないことからと言っていますが、それだけではないと思います。また次の10兆円を超えるファンドではAI企業を中心に投資すると言っていますが、「日本はAI後進国であり日本に投資するような企業はない」とも言っています。このように日本にはとても冷たいように感じられます。一方韓国に対しては、愛情たっぷりです。今年の7月4日、日本が韓国に輸出規制を発動した日に孫社長は韓国で文大統領と会談すると共に、韓国企業の要人と会談しています。今後韓国に巨額の投資をするとの報道もありましたし、既に昨年11月には韓国企業にビジョンファンドから約2,200億円の投資をしています。このように最近孫社長は祖国韓国との関係を急速に強めていました。その中で日本の輸出規制があり、次は徴用工判決に基づき韓国で日本企業の資産が処分された場合、日本は韓国への投融資を全面的に禁止する措置に出ることが考えられます。そうなると孫社長は、愛する韓国に投資して貢献することが出来なくなるのです。これを回避する手段を考えていたと思われます。そして思い付いたのが今回の取引です。これでNAVERは経常利益1,000億円以上のヤフーの利益を取り入れられることになります。即ち、今後はヤフーの利益による資金が韓国に流れることになります。これなら日本が韓国への投融資を禁止しても合法的に韓国に資金を流せます。このように考えれば今回のおかしな統合が理解できます。

孫社長率いるSBGは米国スプリント社や英国アーム社を約6兆円で買収するなど日本から海外に資金を流出させています。この原資は年間約6,000億円近い余剰資金が生まれる日本の携帯電話料金収入です。即ち、日本の家計のお金が海外に流出しているのです。一方SBGは法人税を払わないのでも有名です。今年国税が査察に入り、財務省はこれを封じるため税法の改正を検討しているとも報道されています。SBGが日本に本拠を置く理由は、携帯電話事業が資金を生むからであり、日本には殆ど貢献していないように思われます。

ヤフーとLINEの統合は、ヤフーの利益が韓国に流れるばかりでなく、ヤフーに蓄積された日本人の個人情報も韓国に流れると言う点にも留意する必要がります。ヤフー5,000万人、LINE8,000万人と言われる日本人ユーザーの個人情報が合わされば、日本人の戸籍簿が出来るほどの情報量となります。これが韓国に流出するということです。これは今後日韓企業の競争力や国の安全保障に影響するのは間違いありません。両社の統合に付き審査する公正取引委員会などの官庁は、国益と言う観点から慎重な審査が望まれます。