県立高校も政令指定都市に移管すべき

現在私は福岡市に住んでいますが、福岡市は政令指定都市なので福岡県とほぼ同格とされており、県の権限や事務の殆どが移譲されています。そのためか福岡県(県庁)の存在を意識することは殆どありません。県庁および県の出先機関には行ったこともありません。

そういう中で唯一県を意識するのは、県立高校の存在です。福岡市内でも有力高校の殆どは県立高校であり、次が私立高校、そして市立高校です。政令指定都市は県と同格と言い、権限や事務処理の殆どが県から移譲されている中で、県立高校だけ市内に県の縄張りとして残っているのが不思議です。

調べて見ると県立高校に関する権限の内、教職員の任免、給与の決定、研修は政令指定都市に移譲され、その他設置や学級編成などの重要な権限は県に残されています。ということは、政令指定都市には教育をマネジメントする能力がないと見なされていることになります。

本当にそうでしょうか?福岡を見ると、福岡市はFUKUOKA NEXTを掲げ、非常に前進的です。都市間競争で他所の都市に負けないように常に前進しようと言う意識に溢れています。一方福岡県庁は大変保守的です。この10年福岡県庁がやった施策で記憶に残るものは何もありません。高島福岡市長の発言はよくテレビなどで報道されますが、小川知事の発言は殆ど報道されません。動の福岡市に対して、静の福岡県庁という印象です。

この結果を見ると、福岡市は毎年人口が増加し、日本でも有数の元気な町になっています。一方福岡県が管轄する福岡市、北九州市の両政令指定都市を除く地域を見れば、全国同様人口が減少し、福岡県が他所の県より優れていると言う点は何もありません。九州で見ても創造的復興を掲げ、熊本の骨格を変えている熊本県に負けていると思われます。

こう見て来ると、福岡市と福岡県どちらが優秀かと言えば、多くの人が福岡市に軍配を上げると思います。ならば教育行政も福岡市に委譲した方が良い変化が起きると考えられます。例えば、東京都、大阪府、神奈川県、宮城県など大規模な自治体では、高校の学区制を廃止し、能力に応じた高校に進めるようにしています。現在東大への合格者の大部分を私立高校が占めることを考えれば、当然出て来る流れです。ところが福岡県はなお学区制を敷いて、競争を制限しています。その結果、福岡県から東大に合格する高校生の割合は全国20位(1,000人当たり1.7人)となっています。九州トップ県としては、10位以内に入らないといけないところです。福岡市内で言えば、古くから歴史のある県立高校御三家(修猷館、福岡高校、筑紫丘)の学区を分け、この3校で団栗の背比べの状態にしています。東京都や大阪府が競争のリミターを外し、東京都では日比谷高校、大阪府では北野高校を中心として能力別に進学するシステムにしているのと大違いです。この結果、福岡市の高校生は競争が抑えられるため、学力の伸びが抑えられています。こう言った現状維持の姿勢では、変革を仕掛ける東京都や大阪府から見ると後退となります。そして現在でも福岡県は明らかに後退しています。

こういう風に考えると、教育行政も福岡県庁から政令指定都市(福岡市、北九州市)に移管した方が良い変化が期待できます。全国的にも教育行政も都道府県から政令指定都市に移管すべきです。