キャシュレス決済の導入は手数料が1%以下になるまで待とう

キャスレス決済をすれば国が一定の割合のポイント還元する制度は今年6月末で終了しました。これからキャシュレス決済を継続するかどうか迷っている小売店も多いと思います。キャシュレス決済のメリット、デメリットは、導入された小売店が一番ご存じのことと思います。売上の大きな小売店ではメリットも大きいようですが、売上が小さな小売店ではデメリットが大きいようです。私は、キャッシュレス決済の継続実施や導入は次のようなデメリットが解消するまで待った方が良いと思います。

第一に、手数料が高いことです。今後しばらくキャシュレス決済の手数料は売上の3%以上になると思われます。これは売上の3%以上が減ることですが、利益率を20%とすると、利益が15%以上減ることになります。キャッシュレス決済の手数料率は、米国では1.8%、欧州は0.2~0.3%、中国では0~0.45%であり、韓国では0%もあるそうです。これを知ると、日本でキャシュレス決済が普及しないのは当然です。キャシュレス決済を使って良いと思われる手数料は1%以下であり、いずれ日本でも実現します。それまで待った方が賢明です。

第二に、レジ対応が複雑なることです。キャシュレス決済の導入によってレジカウンタがキャッシュレス機器で一杯になっているところが見らます。これでは支払業務が煩雑になるだけです。いずれ1つのシステムに統合すると思われますので、そのときまで待った方が賢明です。

第三に、資金繰りの悪化です。現金決済であれば即時回収できていた資金が、キャッシュレス決済では通常翌月入金となります。仕入の支払いが現金の場合、借入が必要となります。キャシュレス決済にしたら借入が必要となったというのでは意味がありません。これもキャシュレス決済の当日または翌日には入金されるようなシステムになると思われますので、待つのが賢明です。

キャシュレス決済は、銀行口座から引き落とされるため、手数料の引下げには銀行間のシステム連携が必要となります。全国銀行協会が調整して各銀行のシステムを繋げ、相互の口座から引き落とし、資金移動できるようにすれば、上の3つのデメリットは解消できます。カードも銀行共通のカードを作れば、カード管理も楽になります。銀行にとって決済業務は核心業務であり、巨大な収益を生む業務となりますので、必ず銀行が独占して提供するようになります。そうなれば上記3つのデメリットは解消して、使えるキャッシュレス決済制度ができます。今のキャッシュレス決済は、携帯電話で味を占めた携帯キャリア3社が中心となって、携帯電話と同じような家計収奪システムを作ろうとしています。ここはじっと待つのが賢明です。