大阪市の総合区導入は維新の選挙にはマイナス

大阪市の松井市長が来年の2月の府議会に総合区設置の条例を出す考えのようです。総合区とは、今の大阪市内24区を8区に括り直し総合区とし、総合区内の行政はできるだけ総合区で企画・立案・処理できる体制とするものです。具体的には民間保育所の設置認可、生活道路や地域に身近な公園の維持管理、放置自転車対策、市民利用施設の運営等などが市役所本庁から総合区に移管されるとされています。どれをとっても全くインパクトがない内容ですが、具体的には東京都の区に近い機能になると思われます。大阪都構想にしても維新の政策は、東京へのあこがれが強く感じられます。東京都の区など町村以下の機能であり、単なるサービス提供機関です。サービス提供機関だから、わざわざ総合区にしなくても今の区でも運営を改善すれば済むことだと思われます。なんだか仕組みをいじることにこだわり過ぎのような気がします。

私は今総合区を導入するのは止めた方がよいと思います。それは大阪都構想の住民投票に負けた維新、とりわけ任期を待って引退を表明している松井市長が新たな制度を導入するのは大阪市民に対して失礼と考えるからです。維新は大阪市民にとって大阪都構想がベストと考えて住民投票に訴えたわけで、これが11月1日に実施されて17,167票差で否決されました。私はこれは当然の結果だと思います。それは大阪都構想は大阪府の権限強化の視点からはベストな選択ですが、大阪市の視点からは市民自治の格下げになるだけだからです。従って、投票結果は大差で否決されても良かったと思います。それが僅少差になったのは、維新の大阪を良くしたいという熱意を評価した大阪市民が多かったからです。今回反対の投票をした市民も維新の大阪を良くしたいという熱意は評価していると思われます。この結果来年予想される総選挙では、大阪市内の選挙区では維新の大勝となると予想されます。住民投票では反対した自民党が勝った結果になりましたが、実質的な勝者は維新です。このような状態で総合区制度を導入することは、大阪都構想はそんなに軽いものだったのかということになります。大阪都構想が一生に一代の大構想であり、それが否決されたら本来打ちひしがれて代替の総合区制度など持ち出せません。否決されて1カ月程度で総合区制度を条例で実施すると言うのは、大阪都構想の住民投票で考えに考えさせられた住民にとっては腹立たしい出来事となります。もしこれが実施されたら、大阪都構想の住民投票で一気に高まった維新への支持は逆流することになり、来年の総選挙においてマイナスとなります。だから止めといた方が良いと思います。