子供に多くあって老人に少ない生理物質がコロナ予防・治療薬になる?

コロナ感染の第3波が来たようです。11月20日(午前10時)の延べ患者数は125,267名で前日比2,383人の増加となっています。入院患者は延べ14,708人、このうち重症患者は291人で、いずれも増加しています。第2波の場合20~30代の若者の患者が増加し、60代以上の高齢者の増加が少なかったのに対し、第3波の場合、20代以上の全世代に渡り増加しているようです。この結果高齢者の患者が増加し、入院患者の増加、重症者の増加に繋がっているようです。

しかし第2波と同じく第3波でも10代以下の患者数は少なく、重症化は殆ど見られません。普通のインフルエンザの場合、先ずは子供から始まり、学級閉鎖の報道が相次ぎますが、コロナの場合、子供の集団感染は殆どありません。また街中ではマスクをしていない子供も数多く見受けられます。お母さんがマスクをしていない子供を抱いている姿も見受けられます。子供がコロナに感染しにくいし、重症化しにくい(というか重症化しない)ということが今回のコロナ問題では不幸中の幸いです。

ここにコロナ予防薬および治療薬開発のヒントがあると思われます。最近米国のファイザーやモデルナのコロナワクチン臨床試験で予防効果が95%に達したとの報道があり、ワクチン接種が来年にも始まりそうですが、両社のワクチンはコロナウイルス遺伝子の一部(細胞にとりつく突起部分)の設計図であるメッセンジャーRNA(mRNA)が入った液体を筋肉注射し、そのmRNAから細胞内でコロナウイルスの突起部分が作られ、それに対する抗体を作らせるものです。ウイルスは遺伝子配列をころころ変えてワクチンが効かないようにする(そのためインフルエンザワクチンでは予防効果50%以上あれば効果ありとされる)のですが、突起部分は遺伝子配列が変わりにくいため、それ以外の主要部分の遺伝子配列が変化したコロナウイルス(新種)にも効果があると言われています。従ってかなり期待できるワクチンだと思われます。ただし今回は安全性の検証が不十分なため、投与後予測しなかった副作用が出る可能性はあります(現在報告されている副作用は、倦怠感、局部の腫れ、筋肉痛、関節痛、頭痛など軽微なもののようです)。

これに対して10代以下の世代は、ワクチンがなくてもコロナウイルスに感染しにくく、感染しても重症化していないため、体内にコロナウイルスを攻撃する免疫機構を持っているか、ウイルスが体内に侵入しても活性化させない物質を持っていると考えられます。これを探し出せばワクチンになるし、治療薬ともなります。これは10代以下の世代と高齢者(或いは重症化した患者)の体内生理物質を比較すれば候補が出て来ると考えられます。あとはその物質を特定し、人工的に作り出すことが課題になりますが、今の進んだ分析技術とバイオテクノロジーをもってすれば解決可能だと思われます。これができればmRNAワクチンよりも安全性も高いものとなります。日本の研究者に期待したいと思います。