ドコモフック、「毒を食らわば皿まで」状態

東洋経済オンラインによると、NTTドコモは昨年12月からドコモショップに対し、アハモを前面に押し出して客を勧誘したうえで、高額な大容量プラン「ギガホ」などに誘導するように指示をしていたとのことです。これは景品表示法違反(おとり広告や優良誤認、有利誤認)の恐れがあります。

アハモはオンライン受付専用のプランで、ドコモショップからは申し込めませんが、全国各地のドコモショップの出張販売では、2020年12月以降ドコモからの指示でアハモのポスターや旗を掲げ盛んに宣伝しています。ドコモは社内資料でこうした手法を「アハモフック」(フック=「ひっかけるための道具」の意味)と称しているということです。ようするにアハモで「ひっかけろと」指示していることになります。

この記事では記者がアハモフックにひっかかったふりをして営業内容を確認しています。張り出されたアハモのポスターを眺めながら周辺を歩くと、スタッフから「アハモに興味はありますか」と声を掛けられ、スタッフはアハモの説明を始めますがすぐに「お客様にはアハモが大変お勧めですが、まだ受付を開始していません。ですが、アハモにするなら今からドコモに乗り換えておいたほうがラクです」と畳みかけ、いつの間にか大容量プラン「ギガホ」の話になっていたということです。 これについて景表法に詳しい弁護士は「出張販売ではオンラインでしか受付しないアハモのサービスは提供することができず、またその意思もないのに、アハモで客を呼び込んだうえで客の意思に反して違うサービスを売り込んでいる。これは景表法違反にあたる典型的なおとり広告だ」と述べています。

アハモは20Gまで2,700円ですが、ギガホだと60Gまで6,550円(2年縛りなし)と倍以上の料金となります。アハモの導入でNTTは減収になると言われており、これをカバーする方法としてアハモの営業開始前にギガホの2年縛り契約に誘い込もうとしたようです。アハモはインターネット申し込みのみであり、これができるのはスマホに習熟したユーザーのみです。現在スマホショップに行くと大変混んでいることから分かるように、多くのユーザーはスマホの購入から操作までショップだのみであり、インターネットでの手続きには高いハードルがあります。アハモはこの前提で発売されたものであり、移行する(できる)ユーザーはせいぜい1割程度と言われています。ドコモはこの1割のユーザー移行に伴う減収を、アハモに興味あるユーザーを先にギガホに誘い込んで、アハモは申し込めないようにしようとしていると考えられます。もしこれに引っかかってギガホを契約したユーザーがいたとすれば、これは景表法違反と言う軽い犯罪ではなく、刑法の詐欺罪に該当すると思われます。犯罪意思が明確であり、ユーザーには損害が生じています。

ドコモは昨年12月まで上場会社であり、親会社のNTTとは独立して意思決定を行っていましたが、ソフトバンクとauに攻められ、毎年シェアを落としていました。そんなときソフトバンク、auからシェアは現状維持でいいから、3社とも儲かるよう協調しましょうよと誘われた(毒饅頭を貰った)ものと思われます。こときまでドコモは公益企業の体質を持っており、これを行うことに躊躇があった(毒饅頭をおいしいとは感じなかった)と思われます。しかしこれにより馬鹿みたいに儲かり出すと、むしろドコモが3社協調体制の先頭に立つようになった(毒饅頭が好物になった)ようです。その結果、ドコモはHPの解約手続きのページはネット検索できない(ひっかかってこない)ようにしていましたし、最近までスマホの解約はショップのみとし、ネットでは解約出来ませんでした。また楽天が2年縛りは全廃し、ソフトバンクも廃止する中でドコモはまだ2年縛り契約を中心にしています。それどころか光回線とスマホのセット契約に力を入れ、光契約の2年縛りでスマホユーザーが逃げないようにしています。

このように毒饅頭を食らったドコモはすっかり毒饅頭が好物になり、毒饅頭なしには生きて行けなくなったようです。今回のアハモフックもこんなドコモの体質が現れたものです。

このドコモの状態は「毒を食らわば皿まで」の諺の状態と言えます。悪人になった限りは最後まで悪人道を貫く覚悟のようです。

ドコモはソフトバンクやauのショップが少なく、電話と言えばNTTが当たり前の地方のユーザーを2年縛り契約で縛り付けてシェアトップの地位を守ってきました。しかし楽天と日本郵政が提携した結果、郵便局で楽天モバイルのスマホを販売することになり、これから地方のドコモユーザーが楽天モバイルユーザーに代わって行きます。やはり悪人は滅ぶ運命にあります