法案ミス続発、官僚不人気で入省者のレベルが底割れ?

国会に提出された法案にミスが相次いでいるようです。3月24日のテレビ朝日ニュースステーションの報道によると12府省の20法案にミスが見つかっているということです。

経済産業省提出の産業競争力強化法改正案では3度もミスが見つかったと報道されています。これには野党ばかりでなく与党自民党でもあきれてものが言えない状態だと言うことです。ミスのまま法案が通っていたらおかしない効力が生じてしまいますから、深刻な事態です。

ではなぜこうもミスが続発するのでしょうか?経済産業省ではコロナによりテレワークが増えて読み合わせが疎かになったせいと言っていますが、それだけではないと思います。官僚合格者のレベルの低下が表れているように思われます。

2020年度の国家公務員試験で東大生の合格者は249人と前年と比べ58人、18.9%減少しています。これは1998年度以降最少で、全体に占める割合も14.5%と2.6%減少しています。その他の合格者上位常連の大学は軒並み減少し、立命館大学や中央大学が合格者を増やしています。これは民間の景気が良く企業の採用が活発だったこともあると思いますが、安倍政権で官僚が余りにも不甲斐ない態度をとることが多く(森友事件の際の佐川財務省理財局長、加計学園問題の際の経済産業省柳瀬審議官など)、官僚になっても良いことはないと考える東大生が増えたものと思われます。また最近ビジネスでは、AIや創薬などを中心に高度な学力が成功のカギとなることが多く、東大出身者がベンチャー企業を興しIPOする事例が増加しています。これを見て優秀な東大生は富も名声も得られるベンチャー企業でのIPOを目指すと言う米国型になって来ているように見えます。少し前まで官僚は国家公務員試験の成績で入省後の出世が決まると言う試験に強い東大生に有利な職業でしたが、最近は成績に関係なく政権幹部に気に入られた官僚が出世するようになっています。こうなると優秀な(試験の成績が良い)東大生が官僚を目指さなくなるのは当然なことです。

この傾向が昨年の公務員試験で東大生合格者の大幅な減少として表れただけで、質の低下はその前から進んでいたと思われます。即ち少し前から東大生の合格者数は減っていなくとも国家公務員試験を受ける東大生のレベルは確実に低下していたものと思われます。そして昨年それが数の上でも表れたのです。

法案の読み合わせは新人や若い人の仕事です。中堅クラスで法案を作成し、若い人にミスがないか読み合わせなどでチェックさせます。今回法案にミスが多いのはこの部分に問題があったことになります。このミスのチェックは、やはり大学で成績が良かった人が良く出来きます。これだけミスが多いということは、最近の入省者の学力レベルが相当落ちている証拠だと思われます。中央省庁の入省者の学力レベルが底割れした可能性があります。