新党結成なら若者中心の党を

8月12日の読売新聞の報道によると、前埼玉県知事で無所属の上田清司参院議員が次の総選挙に向けて新党結成を模索しているとのことです。上田氏は「自民党でも立憲民主党でもない選択肢が国政に必要だ」と語っているようです。上田議員は、野党系の無所属議員や自治体の首長経験者らの糾合した新党を考えているようですが、上田議員の勉強会に参加している議員の1人は「衆院選まで時間が限られ、新党への期待感もない」と述べたということです。

上田議員の「自民党でも立憲民主党でもない選択肢が国政に必要だ」という視点は正しいと思われます。7月の東京都議会選挙で都民ファーストが31議席を得たことがこれを証明しています。事前の新聞予想では自民党が前回の50議席台を回復し、その分都民ファーストは犠牲を大幅に減らすと言われていましが、自民党が増やしたのはわずか8議席でトータル33議席に留まりました。一方都民ファーストは14議席減の31議席となりました。自民党は政権与党であり、都民ファーストは地域政党であることを考えれば、ありえない結果でした。しかしこれも新聞記者のように政治の世界にどっぷり漬かっていない生活者なら容易に予想できました。当時生活者の中には自民党に対する嫌悪感が充満していました。ともかく自民党は嫌という空気が満ち溢れていました。自民党に投票する人はいるのかという雰囲気でした。だからこの結果は当然と言うか、自民党はもっと少なくても驚きませんでした。自民党支持者は消えてしまい、選挙協力していた創価学会関係者の投票で何とか33議席になったと考えられます。また分家とも言える日本維新の会も1議席に留まりましたので、保守間で支持者が移動した訳でもないことが分かります。一方では立憲民主党は15議席と余り増えていない(+7議席)ことを考えると、都民の期待は立憲民主党にもありません。

そんな中で都民ファーストが31議席も得たということは、都民は自民党や立憲民主党という既存の政党の枠組みに属しない政治集団を望んでいることが分かります。この結果を東京都だけの現象と捉える人もいますが、そうではないと思います。自民党は腐っているし、立憲民主党は期待できないことは前回の政権で分かっていますから、後は新しい政治集団に期待するしかありません。従って上田議員の新党という着眼点は正しいと思われます。

しかし新党の枠組みが間違っています。上田議員は埼玉県知事出身であり、在任中は圧倒支持を集めていましたから、新党の中心は首長経験者という発想になるのだと思いますが、それは間違いです。首長は任期中毎日が選挙運動みたいなものですから、選挙には強いです。しかし首長出身議員が首相になった例はなく、国会では余り活躍していません。また首長経験の国会議員に有権者が期待するのは良識であり、国を変える活躍ではありません。

従って新党で首長経験者を候補にしても余り票は集まらないと思われます。そもそもそんな期待はありません。

現在国民に期待されているのは、20~30代の若者が中心となる「若者の党」です。自民党や立憲民主党では世の中変わりません。何故なら党名が違うだけで議員個人は殆ど同じだからです。立憲民主党の議員に自民党に移る人(移りたい人)が多いのがそれを証明しています(細野豪志衆議院議員、長島昭久衆議院議員、桜井充参議院など)。一方20~30代の若者なら世の中に何のしがらみもなく、不合理な制度を一挙に変えることが出来ます。インターネットを使えば有権者の意思と異なる制度が生まれることはありません。

「若者の党」が政権を担えば最短4年、長くて8年あれば日本をリセットできます。今国民の間にあるのは、「若者の党」への期待です。しかし若者は政治参加の経験が少なく、若者による新党結成はハードルが高いようです。そこで上田議員らが核となり、候補の大部分は20~30代とした「若者の党」を結成して頂きたいと思います。