専門家という言葉を意味不明にした感染症専門家

コロナのデルタ株が猛威を振るい、東京都では1日5,000人を超え、全国では1日25,000人を超える感染者数となっています。その結果、症状が悪化し救急車を呼んでも入院できない状態となっているようです。そして在宅療養を強いられ、そのまま死亡する人が増えています。8月19日にはコロナに感染した妊婦が入院できず、新生児が死亡すると言う痛ましい事態が発生しています。

これに対して政府は、病床が足りないとして入院制限を宣言し、これに合わせるように13都府県に緊急事態宣言を発令しました。政府は、緊急事態宣言については「新型コロナウイルス感染症対策分科会」(以下専門家会議)の了承を得ましたが、入院制限については諮らなかったということです。専門家会議は政府政策の承認機関ではないため諮らなくとも瑕疵はないのですが、最近専門家会議の尾身座長が東京オリンピック開催問題などで政府の方針と反する見解を表明するなど、専門家会議が政府の方針に異を唱えることが多くなったことから、諮ることを避けたものと思われます。

入院制限については、病床を提供することを約束し補助金を貰っている病床の多くが使われていないことが判明しており、入院制限の前にやるべきことがありました。東京都の場合、約6,000床が確保されているのに実際に使用されているのは約3,800床であり、約2,200床は空いていることになります。勿論病床は空いていても医師や看護師などのスタッフが足りないため入院させられないケースもあるとは思われますが、これを放置したままで入院制限を宣言した政府には怒りを感じる人が多いと思われます。それに現在コロナ患者を受け入れているのは公立病院、大学病院および一部の民間病院であり、日本医師会傘下の民間病院の多くは、感染症は法律上民間病院の管轄ではないとしてコロナ患者を受け入れません。しかし今の感染症体制は大規模な感染症が起きなかった時代に作られたものであり、言わば平時の感染症体制です。専門家会議は、今の状況は災害時と同じと言っており、緊急感染症体制に移行する必要があることを認めています。そのためには、平時の感染症体制を見直し、日本医師間傘下の民間病院でもコロナ患者を受け入れるようにすべきなのですが、これについて専門家会議は一切触れません。そして自民党も言わないし、政府も言いません。これは日本医師会が反対だからであり、専門家会議も自民党も政府も日本医師会には逆らえないからです。ようするに医療体制は日本医師会を頂点して意思決定されているのです。その結果入院制限になっています。これを知ると日本の社会システムが情けなくなります。

昨年のコロナ流行後脚光を浴びるようになった専門家会議ですが、ここにきて国民の期待がすっかり失せてしまっています。発足当初は画期的治療法や予防法を知っている凄い医師の集団だろうと期待したのですが、最初に出てきた提案が人流の8割低減というどこかの危機管理部署の提案と間違う内容でした。それもその根拠がコンピュータシュミレーションで出た結果だったことから、感染症専門家ってコンピュータの専門家のことかと思いました。感染症専門家に対する一般人のイメージとしては医師でウイルスを研究しており感染症の治療法を身に付けている人でしたから、ここで感染症専門家に対して疑問符が浮かんだ人も多かったと思われます。そのためかこのシュミレーションを行い提言をまとめた研究者は「コロナおじさん」と呼ばれるようになりました。これは研究者に値しないという一般人の評価です。

しかしこれは政府が望まなかった提言のようで、その後当時の専門回会議は解体され、今の状態になっています。今の状態では元副座長の尾身氏会長になり、オリンピック開催などで政府の方針に反する意見を表明し始めました。しかしこれは専門家会議の無意味さに気付き始めた国民の目を意識した尾身会長の演技かも知れません。専門家会議のやることと言えば相変わらず政府の緊急事態宣言の追認だけです。

私が専門家会議に一番不満なのは、民間病院への人院受入れ義務化を言わないことです。緊急事態宣言より遥かに緊急性があることとは委員全員分かっていると思います。結局専門家委員も医師であり、日本医師会の影響下にあるということです。そのため専門家として当然言うべきことを言わないのです。こんな感染症専門家を嘲笑している国民は多いと思います。感染症専門家は専門家という言葉を意味不明なものにしてしまいました。