高齢政治家に引導を渡すのは選挙民の仕事

今回の総選挙の特徴の1つは高齢者が多数立候補していることです。70歳以上の候補者は97人いるそうです(30歳以下は99人)。特に自民党が多いようです。自民党には80歳を超えた候補者が4名います。二階俊博氏82歳(和歌山3区)、麻生氏81歳(福岡8区)、野田毅氏80歳(熊本2区)、衛藤征四郎氏80歳(大分2区)です。寿命が延び健康年齢も伸びていますし、有権者には高齢者も多いことから、国会議員に会社員や公務員のような65歳定年制が馴染まないことは理解できます。しかし80歳を超えて国会議員を務めるのは問題が多いと思われます。

先ず1つ目は、いつ死亡してもおかしくないことです。

2つ目は、体の衰えは自覚していますから、仕事をセーブするようになることです。

3つ目は、世代交代の邪魔になることです。

この中では3つ目が最大の弊害だと思われます。例えば二階氏は約5年間も自民党幹事長を務めましたが、直近では61歳の野田聖子幹事長代行が家政婦のようなありさまであり、それ以下の年齢層の議員は子ども扱いでした。実際自民党では、二階氏が右と言えば全議員が右を向き、左と言えば左を向く状況になっていました。これでは民主主義は機能しません。

麻生氏は二階氏程権力を笠に着ることはありませんでしたが、物言いがぞんざいであり、国会答弁や記者会見、選挙応援演説で国民を不愉快にする発言を頻発しました。本人はジョークのつもりなので反省がありません。これで嫌な思いをした国民は多いと思われます。これが今回の総選挙で自民党が苦境に立っている一因でもあります。

野田毅氏は最近目立ちませんが(9月の自民党総裁選の際選挙管理委員長をしていました)、既に国会議員16期も務めています。かっては実力派でしたが、今では終わった人となり、選挙民の期待は萎んでいると思われます。衛藤議員も当選12回の重鎮で、もう上がりの状態です。

人数的にはわずか4人と言っても二階氏と麻生氏は併せて100名以上の派閥議員を掌握しており、2人で100人以上の議員に相当する力があることになります。それは2人がいるせいで100人以上の議員が抑圧されていることでもあります。今この2人がいなくなれば100人以上の議員が解き放たれ、活発に動き出すことになります。それが各議員を選任した投票民が望む状態です。

こう考えると少なくとも80歳を超える議員には引退してもらうのが日本のためになると言えます。二階氏の場合、息子に世襲させたくとも世耕参議院議員が出馬の構えを見せているので、引退したくても引退できないようです。二階氏の幹事長時代の記者会見を見ていると両側から支えられてやっと立っている状況も多く、また言葉も聞き取りずらく、議員活動に支障が出ているように見受けられます。麻生氏の場合は、健康面の不安もなく自分では終身議員を続けるつもりのように見えます。国会議員の進退は自分で決めるのは難しく、地元の有権者が引導を渡すしかないと思われます。