4,630万円誤振込事件、これから特捜部が動く!

山口県阿武町の4,630万円誤振込事件は、容疑者の逮捕後1週間もせずに約4,299万円が回収されると言う以外な展開になっています。振り込みがあった4,630万円は全部ネットカジノで使ってしまったと言っていた住民は、5月18日に電子計算機使用詐欺罪の疑いで逮捕されました。実際お金は容疑者の口座から全額なくなっていたということです。こうなるとお金が本当にネットカジノで使われてしまったのか、それともどこかにプールされているのかが関心の的となります。ネットカジノへの支払いは決済代行業者が行ったようなので、当然決済代行業者には問い合わせや調査が行くことになります。これについて専門家は、既に海外のカジノ業者に支払われていれば回収は困難で、カジノ業者にプールされていても調査に長期間かかるという見通しでした。ただし海外のカジノ経営に参加しているある日本人は、素人が数日で4,630万円をカジノで使い切るのは無理とも述べていましたので、決済代行業者または海外のカジノ業者などにプールされている可能性も残されていました。

こうなると解明や回収は長期戦だなと思っていたこころ5月24日、4,299万円が3つの決済代行業者から町の口座に振り込まれたことが明らかとなりました。普通ならネットカジノに使われず決済代行業者の下に残っていた容疑者のお金が返還されたのだろうと考えますが、決済代行業者の容疑者の口座には600万円しか残っていなかったということですから、振り込まれた金額のうち3,699万円は容疑者のお金ではないことになります。ただし海外のネットカジノなどにプールされているとすれば、その分も含めて返還したのかも知れません。従って今度は決済代行業者から先がどうなっているのかに関心が移ります。

今回の誤振込問題がこれだけ大きな問題になったのは、決済代行業者が存在したためです。銀行間移転なら追いかけて差し押さえることが可能でした。決済代行業者が存在し、海外カジノへの支払いを代行していたことから、そこから先が闇の中となり混乱することとなりました。こうなると決済代行業者の業務内容が社会的に問題となります。銀行を通した資金移動であれば、支払者と受取人および金額の記録が残りますが、決済代行業者を通すとそれらが分からなくなることから犯罪に利用されている疑いが出てきます。金融界や警察でもその可能性に気付きながら、事件となっていなかったため放置してきたと考えられます。今回の阿武町誤振込事件がこのことを放置できない問題として浮上させました。

決済代行業者が4,299万円返還してきたのは、警察や国税の調査が入るのを嫌ったからと言われていますが、残念ながら警察の捜査が入ることになりそうです。5月27日には、山口県警は賭博罪も視野に置いて捜査を進めているとの報道もありました。普通の個人なら決済代行業者を通して海外カジノで使うという発想は浮かばす、容疑者が常習的に海外カジノで賭博を行っていて可能性があります。同時にこれが大規模に行われている可能性があります。更には決済代行業者が海外の個人口座に資金をプールすること、移動することを目的として使われている可能性があります。マネーロンダリングや外国為替管理法違反も疑われるところです。

このように決済代行業者を調べれば大きな事件に発展する可能性があり、東京地検特捜部が手柄を上げるには持ってこいの事件と言えます。場合によっては意外な大物が引っ掛かってきそうな予感があります。ということで4,299万円が回収され金額的には終わりが見えてきた本件は、これから東京地検特捜部が登場し、全く違った展開を見せることとなると思われます。