現代自動車入社8年目で740万円、やっぱり韓国の給料は高い!

6月15日ヤフーニュースに韓国の日刊紙ハンギョレ新聞の現代自動車に関する記事が出ていました。題名は―「利益は私たちが稼ぐのに冷遇」…韓国、現代自動車の内燃機関研究職の退職が「続出」―です。内容は、現代自動車では電気自動車の研究に力を入れており、電気自動車関連の研究者は高給で採用され、研究環境もよい。一方今稼ぎの中心である内燃機関(エンジン)の研究者は冷遇されているため、退職者が続出している。といういうものです。この記事は退職した研究者6名に取材したものです。

それは今多くの自動車メーカーで行われていることであり、特別驚く内容ではありませんでしたが、1つ驚いたのは入社8年目の研究職の年収が740万円となっていることです。本人は安い、冷遇されていると嘆いていましたが、韓国企業の給与水準の高さを示す良い例だと思います。昨年度のサムスン電子の従業員(約11万人)平均年収は約1,440万円となっており、儲かっている企業(2021年度営業利益は約5兆円)が従業員にも還元していることが分かります。サムスン電子以外にも年間10カ月以上の賞与を支払う企業が相当あるということなので、韓国企業の年収水準は日本より相当高いと思われました。日本の場合トヨタがサムスン電子に相当し、2021年約3兆円の営業利益を上げています。トヨタの従業員平均年収は2020年度865万円となっており、サムスン電子と相当差があります。サムスン電子の場合は、今活況を呈する半導体が利益の中心であることから、トヨタとは直接比較できません。自動車で韓国NO.1である現代自動車との比較なら、日韓の給与水準の比較となります。そこで網を張っていたところこの記事に出会ったものです。トヨタの入社8年目の研究職の年収については資料がありませんが、人材採用会社の推測では800万円というものと674万円というものがありました。共に40歳で1,000万円を超える予測になっているので、その間の昇給を考えると674万円が近いと思われます。これでもメーカーの入社8年目の年収水準としてはトップクラスです。トヨタは最近高業績が続いており、賞与は年間8カ月以上支給しているようです。現代自動車の2021年度の営業利益は約6,400億円とトヨタの5分の1なのに、従業員の年収水準はトヨタより1割以上高いという実態が浮かび上がってきます。

現代自動車は昨年米国市場で販売台数を21.6%伸ばし(148万台)、ホンダ(146万台)を抜きましたし、欧州ではシェア8.7%で欧州メーカーに次ぐ4位に躍進しています。その他ロシアではトップシェアですし、インド、ベトナムなどの成長市場でもトヨタを上回る台数を販売しています。それに電気自動車を欧米市場に投入し、テスラを追撃する勢いです。なぜこうも勢いがあるのか調べて行くと、徹底した業績連動報酬制度(実力主義)に行きつきます。かって現代自動車の車は日本車のコピーと言われ、低価格で販売を伸ばしましたが、その後デザイナーやエンジニアを欧州の自動車メーカーからスカウトし、すっかり高品質の車に変身しています。それに海外販売の最高責任者に元日産の米国販売責任者をスカウトし、ゴーン流の拡販政策を採っています。これらの施策が当たり、今の勢いが続けば販売台数と利益でトヨタを抜く日遠くないと思われます。私は以前これを10年以内と予想しましたが、今では5年以内も不可能ではないと思います(半導体不足が解消すれば)。

日本の労働者の賃金が30年近くほとんど上がっていないのは、業績不振のときにも安定した年収を支払うためであり、公務員型を理想としているように思われます。これでは社員のやる気を最大限引き出すことは不可能であり、業績連動型報酬制度を採用する韓国企業に敗北するのも当然です。日本の企業は明確な業績連動型報酬制度に移行する時期にきています。