日中関係の改善は日本の安全保障に不可欠

日中両国が関係改善に向けて動き出したようです。秋葉安全保障室長が中国を訪問し、カウンタパートである中国の楊政治局委員と会談したという報道がありました。その後林外相も習主席と岸田首相の対面会談の実現を目指すと言っています。

ロシアのウクライナ侵攻に伴い日本では防衛力強化に向けて動き出しました。防衛予算をGDP2%を目途に増やすコンセンサスが出来ました。ただしこれまで日本の自衛隊は実際の戦争を想定していなかったため、軍備を強化しろと言われても欲しい武器が出てきません。だから本当に防衛力強化に繋がってくるのは、3、4年後からだと思われます。それよりも軍隊としては成熟している米国や英国、NATO各国と同盟関係を強化した方が防衛力強化に繋がると思われます。

もう1つ日本の安全保障の観点から重要なのは、中国との関係改善です。現在日本の最大の脅威国は中国でしょうから、中国との関係が良好であれば防衛力強化を急ぐ必要はありません。本来なら中国より脅威であるはずのロシアが長らく防衛対象から外れていた(自衛隊を北海道から南西諸島方面に移した)のは、安倍首相在任中ロシアのプーチン大統領と良好な関係を築いており、ロシアが日本を侵略するなど考えられなかったからでした。ロシアへの備えを不要としたことは、安倍首相の大きな成果でした。同時に安倍首相は米国のトランプ大統領とも良好な関係を築き、日米同盟の牽制力を高めました。安倍首相が日本の安全保障において1つだけ不足していたのは、中国と良好な関係を築くことでした。

安倍首相は台湾に相当肩入れしていましたので、安倍首相では中国と良好な関係を築くことは無理だったと思われます。安倍首相は「台湾有事は日本有事」とたびたび発言していましたが、無用な刺激だったように思われます。台湾が中国の一部であることは日本も米国も認めており、両国が中国に求めているのは、武力による台湾統一を図らないことです。だから常にこのことを求めて行けばよいのであって、中国が武力で台湾を統一しようとした場合、日本も有事と捉えて参戦すると解釈されかねない言葉は使うべきではありません。

中国では最近東シナ海での漁業が解禁となったようですが、中国政府は漁民に尖閣諸島に近づくことを禁止していると言う報道です。中国政府も日本との関係改善を望んでいることが伺えます。尖閣諸島は日本と同様中国も固有の領土と主張しており、日中関係の最大の懸念です。この対立は民主党政権が2012年尖閣諸島を国有化したことから始まっており、民主党政権最大の失政だと思われます。1972年の日中国交回復では尖閣諸島の領有権問題は棚上げにしたと言われており、これは賢い対処だったと思われます。もし殆ど岩でできた小さな島の領有権を巡る対立で今でも日中国交が回復していなかったとすれば、両国が失うものが大きすぎます。従って尖閣諸島については両国が日中国交回復時の態度を維持することが必要であり、日本としても漁船を立ち入らせないなど中国と同じ対応をとることが良いと考えられます。私はもし将来尖閣諸島を巡り軍事衝突が発生したら、米軍が誤爆と称して島を破壊し、海中に沈めるのが良いと思います。そうすれば日中に紛争の火種は無くなりますし、日中関係が良好ならロシアも日本に侵攻できず、日本の安全保障は格段に強化されます。