熊本県は台湾の学校を誘致するのが良い
熊本に進出する台湾の半導体受託製造メーカーTSMCの工場運営に当たり台湾からやってくるTSMC従業員は約300人に上り、その子供の教育が課題となります。10月13日の熊本日日新聞でこの問題が取り上げられ、その子供の数を約150人と想定し、その大半は熊本インターナショナルスクール(KIS)を希望していると報じています。実際の子供の数は100人を下回り、かつKISを希望している人数ももっと少ないと思われます。KISは学費が100~200万円掛かると思われ、これだけの金額を出せる社員はTSMCと言えども多くないと考えられます。かといって全国平均以下の学力となっている熊本の公立学校に通わせるはずがなく、また受入れを表明している私立も魅力がありません。そうなると熊本に進出している日本企業の社員と同じ様に単身赴任が多くなると考えられます。今後熊本と台湾の間に航空機の定期便が開設されれば、日本の単身赴任者とそう変わらない状況となります。
これでは台湾と熊本の関係は深まりませんので、やはり家族連れで赴任してもらう必要があります。それを阻害する最大のものが子供の教育ですから、この問題の解決は非常に重要です。この問題の一番の解決策は、熊本に台湾の学校を作ることです。この意見はネットの書き込みでもちらほら見られます。台湾からやってくる子供は、親のTSMC熊本工場勤務に伴いせいぜい3~5年熊本にいるだけになると思われ、日本の学校に行く意味は全くありません。台湾に帰国後台湾の学校に復帰できるように台湾と同じ環境で勉強するのがベストです。それに今の日本は先進国ではなく、台湾からやってくる子供にとって(親にとって)日本の学校で学ぶメリットはありません。海外でも日本人学校があれば殆どの日本人の子供は日本人学校に通っており、それは海外赴任の安心材料となっています。台湾の学校ができれば台湾から熊本にやってくる殆どの子供は台湾の学校に通うことになると思われます(もちろんTISに通う子供も出て来る)。
台湾の学校を作るメリットは、この他に2つあります。1つは、この学校があれば台湾のTSMC以外の企業が熊本に進出しやすくなることです。TSMCの熊本進出に伴い、TSMCに製品を納める台湾の中小メーカーでも熊本進出を考えるところが出てくると思われますが、台湾の学校があるとなると進出しやすくなります。2つ目は、熊本の子供が台湾の学校に通えるようになることです。横浜や東京の中華学校では最近日本人の子供の入学者が増えています。中国の経済発展や中国人の人口の多さを考えると、面白い選択肢だと思われます。
台湾の学校の設立については、TSMCに働きかけTSMCで作ってもらっても良いですし、台湾の学校法人を誘致することや台湾の行政府に働きかけ公立の学校を作ることも考えられます。また横浜や東京で中華学校を経営する学校法人に熊本校を作ってもらうことも考えられます。いずれも場合も熊本の子供を受入れることを条件に、土地や建物を熊本県から提供したり、必要資金の一部を補助したりする政策が必要となると思われます。
台湾の学校(中華学校)の誘致は、今後台湾の企業を呼び込む重要なインフラとなります。