司法試験に5回落ちた人は回数制限の違憲訴訟を

10月21日、秋篠宮家の長女真子さんのご主人である小室圭さんが米国ニューヨーク州の司法試験に合格したという報道です。今回が3回目の受験でしたので、本人のプレッシャーは相当なものだったと思われます。ネットでは小室さんのメンタルを称える書き込みが多く見られます。

小室さんは今回が3回目の受験ですが、米国では何回でも受験できます。受験回数が増えるに従って合格率は低くなるようですが、これは出来が悪い人の割合が増えるためだと思われます。ここで注目すべきことは、米国では司法試験の受験回数を制限していないことです。これは何も特別なことではなく、職業選択の自由から来る普遍的原則だと思われます。

しかし日本の司法試験制度では受験回数を5回に制限し、弁護士になるチャンスを奪っています。憲法は第22条第1項において「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択 の自由を有する。」 と規定しており、これには自己の従事する職業を決定する自由、自己の選択した職業を遂行する自由、すなわち「営業の自由」が含まれるものと解釈されています。司法試験の受験回数制限は弁護士になる道(職業選択)を閉ざすことになり、これは憲法22条1項違反となります。弁護士は医師ほど社会的に重要でもなく、公認会計士や弁理士に近い近いと思われます。医師資格でも受験回数制限を設けていないし、公認会計士や弁理士資格でも受験回数制限を設けていないのに、弁護士資格だけ受験回数制限を設ける合理的理由は見当たりません。司法試験では法科大学院制度によって設けられた合格者約3,000人が今では約1,500人に引き下げられています。これは建前としては弁護士の質を確保するためとなっていますが、実際は競争を少なくし弁護士の収入を確保するためであることは明確です。他の士業においては、基準をクリアしたら資格は取得できるけれど職業にできるかどうかは別として、憲法の職業選択の自由を尊重しています。

こう考えてくると司法試験の受験回数制限は違憲である可能性が高いと思われます。5回受験して合格できずこの制限により今後受験できない人は、是非司法試験の受験回数制限につき違憲訴訟を提起して頂きたいと思います。たぶん5回不合格者じゃないと訴えの利益がないとして門前払いされると思われます。司法試験合格を目指して勉強することは、たとえ試験に合格できなくても人生を張りのあるものにしますし、合格して職業弁護士になれなくても社会の中で貢献できます。例えば25才から司法試験を毎年受験して毎年不合格だったとすると29才で受験資格を失いますが、受験回数に制限がなく35才で合格したとすると、あと30年は弁護士として活躍できます。一方今年の司法試験合格者の最高年齢は60才代ですが、この年齢で合格しても活躍できるのはせいぜい10年です。どちらが社会にとって、また個人にとって有益かは自明であり、司法試験の受験回数制限の不当性が分かると思います。このことは弁護士なら誰でも理解できることであり、司法試験の受験回数制限は司法界で自主的に撤廃することが望まれます。