維新・自民の2大政党制が望ましい

統一地方選挙のポイントは、関西で日本維新の会(維新)が大躍進したことでした。牙城の大阪府・市議会で過半数を取ったばかりでなく、兵庫、奈良、京都でも大幅に議席を増やしています。その他神奈川や福岡でも議席を増やしており、関西から都市圏に支持者を増やしていることが分かります。その分議席を減らしたのが自民党であり、自民党支持者が維新に移行していることが伺えます。これを受け自民党重鎮の伊吹文明元衆議院議長が二階派の総会で次のように述べたということです。

「関西の人たちは実感していると思うけど、やっぱり維新の勢いってのはすごいんですね。

(2009年に)我々が政権を失ったとき、民主党の鳩山政権ができたときの前夜と非常によく似ていましたね。」

伊吹氏の選挙区は関西の京都だったため自民党の中でも危機感が強いのだと思いますが、関西に限ればこの通りだと思われます。それでも尚自民党は過半の県議会で過半数を占めたということですから、自民党全体としては伊吹氏程の危機感はないと思われます。

しかし、関西程はないにしても国民(有権者)は昨年来の物価高騰で生活が苦しくなっている中で、岸田政権で出てくることと言えば防衛費増額のための増税や子供対策のための社会保険料引き上げなどであり、有権者の多くはこのまま自民党政権が続けば生活できなくなる危機感を強めています。これまでは2009年の民主党政権のトラウマがあって自民党以外に頼れる政党がありませんでしたが、維新がその候補になってきているのは間違いありません。これまで維新は立党者である橋本徹氏や松井一郎氏に引きいられた大阪のやんちゃ集団の印象でしたが、今では吉村大阪府知事や馬場代表が党の顔となり、全国政党の体裁を整えています。維新は大阪府議会で定数を88から79に減らすなど標榜する「身を切る改革」を実行していますし、大阪府や大阪市の財政は維新になってから好転しています。さらに大阪都構想を巡り大阪市で住民投票を実施しましたから、民主主義政党であるは明らかです。また国会でも自民党と連立を組まず、政策に是々非々で対応しており、公明党や立憲民主党とも違っています。

このような維新は日本の多くの有権者の意識に近い存在のように思えます。日本の多くの有権者は、基本保守的であり政権交代で世の中の仕組みが大きく変わることを望んでいません。それがこれまで野党が政権を取れなかった最大の理由です。この点維新は基本保守的ですが、いずれ自民党に合流すると思われ、有権者から政権を担う党とは思われていなかったと思われます。しかし自民党と合流する気が無く、自民党が口にしない「身を切る改革」を標榜し実行して来ていることから、自民党に代わる政党になり得ると見做されて来ています。日本の有権者には自民党と維新の2大政党制がイメージされて来ているように思われます。その場合維新は大都市を基盤とし、自民党は地方を基盤とすることになります。自民党は大都市では支持者が維新に移行しほぼ消滅状態なり、公明党も創価学会員の減少によりじり貧となることから、自民党と公明党は合流するしかないと思われます。また立憲民主党は議員個人の思想に応じ、維新と自民党に分かれることとなります。このように維新と自民党との2大政党制は割とあっさりとっ出来上がります。この方が自民党の一党独裁より世の中は良くなること間違いありません。