新聞や民放はNHKを潰さないと生き残れない
新聞は販売部数減少で消滅の危機にあります。新聞社の系列が多い民間テレビ(民放)もインターネットに押され広告が減少し、先細りの状況です。こんな中NHKは自らを公共放送と称して受信料を徴収し、盤石な経営内容です。なにせ年間約7000億円の受信料収入があるのですから。7000億円と言えば民放キー局5社の放送収入総額に近い金額であり、NHKが如何に巨大であるかが分かります。受信料を徴収する根拠は公共放送にありますが、実はこの言葉はNHKが言っているいるだけで、定義はありません。NHKの放送内容を見ると公共放送と言える内容は国会開催中の国会中継、選挙のときの政見放送くらいしかありません。ニュースや天気予報も入れることができるかも知れませんが、それは民放にもあります。その他の内容は民放と殆ど変わりません。アナウンサーの態度や制作スタイルが違う位です。これから言うと公共放送という放送局はなく、公共的な内容があるだけと言うことになります。だとすれば民放も公共的な内容も放送しており、NHKの方が少し多いだけです。従ってNHK受信料はNHKの公共な内容の放送だけに充てられるべきであり、公共的な内容とは言えない放送の制作費には充てられないことになります。だとすれば受信料は200~300円でいいはずです。ここが今受信料を払っている国民が一番不満な点です。
NHK受信料については、廃止を求める声が圧倒的ですが、政府は全く動きません。それはNHKを所管する総務省担当部署の仕事(利権)確保のためと、自民党がNHKをコントロールするために受信料制度は都合が良いからです。総務省でNHKを所管するのは旧郵政省のグループですが、郵政民営化で郵便行政の利権を失い、電電公社民営化で通信行政の利権が縮小したため、NHKに関する利権は何として守り抜く姿勢です。それと利害関係が一致しているのが自民党で、NHK会長人事やNHK予算の承認権があればNHKを実質御用放送局化できます。御用放送局は国営放送局と同じですから、税金で運営すればよいのですが、税金だと財政赤字の中ではどんどん予算を減らされるのは必定であり、NHKが嫌っているのです。受信料ならどんなに税収が少なくても、世の中不景気でもNHKの収入が減ることはありません。こういう訳でNHK、総務官僚および自民党の利害が一致して、NHK受信料制度は維持されています。1%にも満たない人数で99%の反対者を押さえている状況です。これは民主主義とは言えず、ロシアや中国、北朝鮮と変わりません。
残念なことに新聞や民放がこれを支援しています。毎日新聞はNHK職員がリークしたと思われる資料に基づき前NHK前田会長が行った改革を批判する記事を掲載しましたし、朝日新聞もNHK受信料を擁護する記事を度々掲載しています。またNHK受信料制度の手本となった英国BBC受信料が2027年3月までに廃止になる予定であることや2022年5月にフランス公共放送の受信料が廃止になったことなど、NHK受信料にマイナスになることは一切報道しません。これはNHK受信料が廃止になるとNHKが民放化され、子会社の民放の経営に悪影響が出るためだと思われます。新聞がこんな態度ですから民放がNHK受信料について触れないのは当然です。
しかし新聞と民放のこの態度が自らの寿命を縮めることになります。それは最近の物価高騰のため家計は節約を迫られており、節約の候補には真っ先にNHK受信料と新聞代が上がりますが、NHK受信料が止められないとなると新聞を止めるしかなくなります。またNHKは4月から受信契約をしない人や受信料を払わない人に受信料の2倍の割増金を課すようですが、これが行われればテレビを廃棄する人が増えます。その結果民放を視聴する人が減り、テレビは新聞と同じ運命となります。要するに新聞も民放もNHKを潰さないと生き残りは不可能です。