「官僚は優秀」は過去の話

6月8日、2023年度の国家公務員総合職(官僚)試験の合格発表がありました。結果を見ると官僚の人気低迷に歯止めがかからない状態です。入試の倍率は前年の10.9倍(大卒程度)から9.5倍に1.4ポイント低下していますし、大学別合格者数を見ても明らかです。大学別合格者数のトップは例年通り東大ですが人数は193人(14.2%)と初めて200人を割り込みました。東大の合格者数が最大だった2015年は459人ですから、約58%減少しています(合格者数は1,071人から1,360人に増えている)。京大は118人で最大が2016年の151人ですから約22%の減少です。そのため東大と京大の合格者数の差が縮まっています。3位は北海道大学の97人で、ここは官僚人気が根強い大学と言えます。4位は早稲田大学(早大)の96人で、2016年が148人ですから約35%減少しています。また9位慶応大学(慶大)の51人を45人上回っていますが、これは早大生が慶大生より優秀と言うことを意味しているわけではなく、民間大企業における早慶の人気差(慶大の人気が高い)、或いは早大生の方が地方出身者が多い(官僚へのあこがれが強い)ためではないかと考えられます。5位は立命館大学の78人で躍進と言えます。6位は70人の東北大学で常連です。7位は68人に中央大学で私大の常連でもあります。8位は55人の岡山大学で、最近躍進が目覚ましいのですがちょっと勢いが落ちたようです。9位は51人の九州大学(常連)と慶大となっています。

10位以内から以前は常連であった大阪大学、名古屋大学、神戸大学、一橋大学と言った入試の難関大学が消えています。これはこれらの大学は地元に大手企業が多数ありそちらに就職しているためだと考えられます。これらに代わり躍進しているのが立命館大学や岡山大学、広島大学(50人)、明治大学49人、千葉大学47人などであり、このクラスの大学が官僚の中心勢力となってきています。以前なら県庁の主力でした。また東大が約58%も減少しているということは、東大生の優秀な層は官僚になっていないということであり、今回合格した東大生は真ん中以下の東大生と思われます。このクラスの東大生は東大卒と言われないとその他の難関大卒と変わらないくらいであり、優秀と言えるレベルではありません。民間ではトップクラスの大企業や人気企業(コンサルや外資系金融企業)には就職できないと思われます。従って現在官僚=優秀という公式は成り立たなくなっていると言えます。