日経はサラリーマン必読紙ではなくなっている

日本経済新聞社(日経)は7月1日から朝刊・夕刊の月ぎめ購読料を現在の4,900円から5,500円(消費税込み)に改定すると発表しました。同時に朝刊のみの場合は4,800円という料金プランを設けています。これは夕刊のニーズが少ないことから、現在の朝刊・夕刊読者の多くが値上げの影響を避けるために朝刊のみに移行することを想定しているもの思われます。同時に日経電子版の月ぎめ購読料は4,277円に据え置いていることから、電子版への移行も狙っていると思われます。今回の改定により朝刊・夕刊の購読が朝刊のみの購読や電子版の購読に移行することから、会社としては紙の新聞の売上高はある程度減少するが配送費の減少や利益率の高い電子版の増加により、利益は減らない、または増えることを想定していると思われます。

果たしてそうでしょうか?私は思いのほか日経の購読を中止する人が増えると予想します。それは昨年来の物価高騰で多くの家計がコスト削減を迫られており、日経の4,900円と言う金額は削減金額として魅力的だからです。コストを一気に5,000円近く減らせる項目はそうありませんし、無くなって不便なのはサラリーマンの父親くらいです。その父親もこれまでは習慣で読んでいただけで、無いと困るのかと言うと記事の内容はインターネットで入手できるものが殆どであることから、それ程困らないことに気付き始めています。また新聞代が高いのは宅配のコストがかかるからであり、ほぼ同じ内容である電子版が4,277円なのはボッタクリであることも分かっています。ネットなら月2,000円以内でないと購読できません。それに会社で必要なお得意先や業界の情報は、お得意先や業界団体のHPを見れば大体手に入れられます。日経の記事は記者が書いた分バイアスがかかっており、正確でないことが多いことは良く知っています。このようにこれまでサラリーマンの必読紙と言われた日経に対するサラリーマンの評価も変わっています。これに気付かずに値上げしてもこれまで通りの利益が上げられると考える日経の経営感覚はずれています。昨年日経は約8%近く購読部数を減らしており、これまでそれをカバーしてきた電子版は殆ど増えていません。この原因は紙の新聞のニーズがなくなっていることと、電子版なら4,277円は高過ぎると考えるサラリーマンが増えているからです。日経の紙の新聞はこれから毎年8%程度減り続けるし、電子版も適正価格(月2,000円以下)にならないと増加しないと考えられます。日経は最終的に紙の新聞は無くなり、電子版は月2,000以下の料金にして年間150万部程度の購読部数に収束すると考えられます。