NHKの割増金を認めたら世の中無茶苦茶になる

NHKは3月14日、東京都内の3世帯を相手に起こしていた受信料裁判に関して、東京地裁で1世帯について、受信料42,180円および割増金26,640円の請求が認められたと発表しました。請求金額の内訳は、受信料42,180円が令和4年3月~令和5年9月分、割増金26,640円が令和5年4月~令和5年9月分とのことですから、直近6カ月分の未払い受信料についてのみ2倍の割増金を請求したようです。この1世帯については、相手が出廷しなかったと言うことですから、NHKの請求がそのまま認められたものと思われます。残り2世帯については「司法の判断待ちで判決は出ていない」となっていることから、裁判は進行中でありこの1件をもって裁判所が割増金制度の有効性を認めたことにはならないと思われます。

もし不払い額の2倍の割増金制度が裁判所により認められたら世の中大変なことになります。NHK割増金は放送法や民法が想定していないもので、まさかの産物と言えます。現在NHKの割増金制度と似た制度として、金銭消費貸借契約に基づく借入金(サラ金など)の返済や購入代金の支払いが遅れた場合に遅延損害金制度がありますが、サラ金などの遅延損害金の上限利率は借入金額により制限されており、最高は借入金額10万円未満の場合で29.2%です(利息制限法7条)。金銭消費貸借以外の契約における遅延損害金の利率は、その上限が14.6%に制限されています(消費者契約法9条2号)。このためクレジットカードのショッピング利用などでは遅延損害金の利率を年14.6%と定めているケースが多いようです。いずれも規定を超える部分は無効となります(消費者契約法9条2号)。また税金滞納の遅延損害金も上限は14.6%になっています。

NHKの割増金は受信契約に基づく受信料不払いの遅延損害金と考えられますから、消費者契約法9条2号により最高額は不払い受信料の14.6%となるはずです。受信料の2倍の遅延損害金など認められるはずがありません。遅延損害金の他に支払履行強制の意味合いがあるとしても、それは全ての取引に共通であり、受信料の2倍の割増金が認められる理由にはなりません。

もしNHKの2倍の割増金が認められるなら、上記で述べた遅延損害金は全て割増金という名称に変わり2倍請求されることになります。住宅ローンの返済でも返済が滞ったら2倍の割増金が課される制度になり、返済金が約定返済額の3倍に膨らんでしまいます。税金の滞納でも同じです。これでは世の中無茶苦茶になってしまいます。このことからNHKの2倍の割増金制度は世の中に混乱をもたらす無茶苦茶な制度であることが分かります。こういう制度は公序良俗違反として無効となるのが常識です。この制度を作ったNHKとこれを認めた総務省、政府、国会は非常識の極みと言えます。従って裁判所の判断としては無効以外ありえません。

NHKがこういうことをするのも自民党が付いているからであり、NHK受信料に反対の人は次の総選挙で自民党に投票しないことが必要です。