歯医者は人数を減らして保険単価を上げる

現在歯医者に通っています。私は小さいときから歯が悪く、これまで歯の治療に500万円以上かけています。内訳は歯周病治療で約250万円(大阪から群馬県高崎の歯医者まで1年半通ったため高額になっている。自由診療。)、インプラントが8本で約250万円などです。

昨年12月初めに右下3番(真ん中の2本が1番で左右奥に2番、3番・・と数える)の歯茎の下部が腫れたため歯医者に行ったところ、原因が分かりませんでした。考えられる原因としては、①歯根が折れている、②歯根に亀裂が生じている、③歯周病、の3つとのことでした。その歯医者は、CT画像見て①と②はなさそう、3番と4番の歯の間の歯槽骨に窪みがあることから、これが原因の可能性があるとのことでしたが、痛みがないことから暫く様子を見たいということでした。その後2週間しても腫れが引かなかったことから、別の歯医者に行ってみました。その歯医者もCT画像を見て①と②はなさそうで、3番の右側の歯周ポケットが深い(約1㎝)ことから、重度の歯周病と診断しました。そして「歯周病は治療法がない」「良くなったり悪くなったりを繰り返して歯が抜けるのを待つことになる」と言うのです。これにはカチンと来ました。と言うのは、私は今から30年以上前重度の歯周病(当時は歯槽膿漏)になって、約250万円かけて治療した経験があったからです。そのときの治療は、まず歯科衛生士が歯周ポケットの歯石を徹底的に除去する、その後歯科医が歯茎を歯から切開剥離し歯石を掻き出す、最後に歯茎をきれいになった(歯石がなくなった)歯に縫い付ける、というもので決して難しい治療ではありませんでした。ただし保険治療では割に合わない治療ではあります(保険単価は平均的な症状で設定されているため、重症を治療し時間がかかっても設定された保険単価しか請求できない)。

この歯医者は30代前半で、旧帝大系歯学部の大学院博士課程を修了していましたので、知識は豊富なように見えました。しかし治療経験が少ないまま開業したため、歯周病治療のノウハウがなかったようです。最近はこのような歯医者が大部分です。かつ大学では治療実習はなく(国家試験に合格していないから当然)、歯科医院などでの研修においても、指導医がいるわけではないので、単に自己流で(あるいは見よう見まねで)虫歯の治療をするくらいです。そのため開業してから治療のノウハウを身に着けることになり、患者は実習台という状況です。

歯科医の数は107,434人(2020年度調査)で、人口10万人あたり80人を超えており、過剰と言われています(適正は50人とされている)。なのに大学歯学部の定員は減らさず、現在も歯科医の増加が続いています。そのため歯科医の収入は医師の半分程度で人気がなくなり、歯学部の偏差値は下がり続け、50未満が大部分を占めます(中には偏差値がBF(border free)となっている歯学部もある。BFとは志望者が少なく偏差値を算定できない、または志望者は全員入学できるレベルと言う意味)。そのため歯科医のレベルが落ちており、とんでもない治療が行われている状況です。私は歯科医を探す場合、まずは卒業した大学名を重視しています。福岡に来て9軒の歯医者に行きましたが、その中で分かったのは、難関大学出身の歯科医は学習意欲が旺盛ということです。HPなどを見ると多くの学会や勉強会に参加しています。反対に偏差値の低い大学出身者は学会や勉強会に参加していない人が多いように思われます。この結果難関大学出身の歯科医は技術が向上しますが、偏差値の低い大学出身の歯科医は技術が向上しないことになります。だから難関大学出身の歯医者に行くのが安全です。

今かかっている歯医者は、昨年12月に2軒目の歯医者から「歯周病は治療法がない」と言われてネットで探して辿り着きました。HPに歯周病の治療方法と症例が掲載されており、私が昔受けた治療方法と同じであったことから決めました。年齢50歳代で難関大学出身者ではありませんでしたが、掲載治療例が豊富であったことから、技術は確かなように思えました。実際に治療を受けるとこの判断は間違っていなかったことが分かりました。この歯科医は親も歯科医であり、親が長年かけて身に着けた技術を手取り足取りで伝授したようです。今後歯医者を探す場合の基準にできると思われます。

今受けている治療の中で気づいたことですが、歯の治療では技術と保険単価が見合っていないということです。例えば私の最近3回の支払額は1,300円(実際の費用は4,320円)、2,290円(7,640円)、1,110(3,700円)ですが、これでは採算が取れないと思われます。

1,300円の場合は、4本歯を削り仮歯を装着しましたが、時間にして約1時間の治療であり、その間歯科衛生士と歯科医が掛かり切りでした。これで4,320円なんてありえないと思いました。私の見立てでは2万円でもおかしくないです。2,290円の場合は、2本の歯の連結を切断し、1本仮歯を作り前回の仮歯と接続する治療でした。これは料金相当だと思います。

3,700円の場合は、2本の歯の神経を抜く治療で、歯根が3~4本に分岐していている歯があるため細かな治療が約1時間続きました。私の見立てでは治療費2万円以上でもおかしくないです。

このように歯科治療では、治療(技術)の内容と保険単価が見合っておらず、これでは高度な技術を持ち重症な治療を行う歯科医はやっていけないと思われます。歯科医業界は、歯科医数を減らし(歯学部定員を減らし)、技術や治療の質に応じた保険単価を設定する必要があると思われます。そうでないと「なんちゃって歯医者」が蔓延ることになります。