進学実績を見れば熊本県教委の朝課外廃止効果てき面!

今年の大学入試も合格発表がほぼ終了し、週刊誌や受験雑誌では例年通り高校別合格者数が掲載されています。これも最近は殆ど興味がなくなりましたが、私の出身県である熊本の高校生の学力を知る上では、九州大学(九大)における熊本県内高校の合格者数が参考になります。熊本大学なら熊本の高校が上位にくるのが当然であり、九州内での競争力は分かりません。九大には九州各県の高校生の2番手クラスが集まってきます(トップクラスは東京や関西の大学に行く)。その合格者数を比較すれば、九州各県の学力水準が見えてきます。

九大でトップの合格者数を出しているのは福岡県です。今年の上位3校は長年福岡市内の名門校である筑紫丘高校100人(大学通信のデータによる)、修猷館高校99人、福岡高校83人が占めており、これに公立高校では久留米市の名門明善高校54人、北九州市の名門東筑高校45人、小倉高校31人が続きます。さらに最近の特徴として福岡市内の私立高校が合格者を増やしています。福大付属大濠高校46人や西南学院高校21人などです。福岡県で一番偏差値が高いと思われる久留米大学付設高校は25人ですが、うち8割程度は医学部です。

九州他県の高校を見ると、熊本高校46人、大分上野丘45人、熊本濟々黌42人、鹿児島鶴丸38人、佐賀西38人、長崎西28人などと各県トップ高校が続きます。これまでと比べると各校とも数を減らしており、その分本州の高校が侵食しているように見えます。

さて本題に戻り、今年の九大の合格者数から熊本の高校を見ると、明らかに合格者数を減らしています。熊本高校は昨年の66人から20人減らしています(濟々黌は同数)。熊本市内の第一高校は2名増の8人、第二高校は3人増の5人と増やしていますが、熊本市外が総崩れです。玉名高校が3人減らして5人、八代高校が2人減らして3人、天草高校が2人減らして1人、宇土高校が1人減らして2人、人吉高校は1人増加の2人となっています。もともと少ないのに更に減らしており、目を覆いたくなる状況です。多かった時期から比べると数分の1になっている高校が大部分です。

これには熊本県教育委員会が2023年4月から朝課外を廃止した影響が出ていると考えられます。熊本市内の高校の場合、朝課外がなくなった分を塾や予備校で埋められますが、熊本市外の高校の場合、塾や予備校がなくこの分学習量が落ちてしまいます。それ以上に朝課外廃止により学校や教師の評価上進学実績の割合が下がったため、学校や教師に進学実績を上げようという意欲がなくなり、これが生徒の学習意欲低下につながったと考えられます。何となく私の高校時代の高校と教師の実態に似てきたように思われます(あの頃は酷かった)。

朝課外を廃止するのは良いのですが、そのためには学習量を低下させない代替手段を準備する必要があります。夏休みに集中課外をする学校もあるようですが、毎日学習意欲を刺激する朝課外と比べると効果が落ちることは否めません。

東京や大阪、神奈川などの都会では、小学校から私立中高一貫校に進学する子供が全体の20%程度に達し、かつ公立高校でも学区制を廃止し、優秀な生徒を日比谷や北野、横浜翠嵐などに集中させ、授業も予備校講師を招く、県内の優秀な教師を集めるなどして生徒が難関大学に進学できるよう一生懸命です。これと比べると熊本県は競争緩和策を進めており、東京などの子供との学力格差がますます拡大しています。まるで熊本の教育は、社会の底辺に住む人を作ろうとしているようです。これでは熊本はいつまでたっても県民所得全国40位という貧困県から抜け出せません。

3月24日の県知事選で木村知事が誕生しましたが、木村氏が49歳と言う若さで知事になれたのは、東京生まれで私立中区一貫校に入学し目論見通り東大に進学できたのが最大の要因です(小野前副知事も同じ)。木村知事は学力を向上させるノウハウがあるはずであり、教育改革を期待します。先ずは教育長人事から手を付けるべきだと思われます。