「しおどき」廃業が増加する

ボクシングの元世界ライトフライ級王者、具志堅用高氏(64歳)が会長を務める白井・具志堅スポーツジムは6月6日、7月31日でジムを閉鎖すると発表したという報道です。その理由として具志堅会長はジムの公式サイトで「気力、体力ともに、これまでのように情熱を持って選手の指導に当たるには難しい年齢になったこともあり、ここが潮時と決断いたしました」とコメントしています。

これはコロナ後におきる廃業を象徴している感じがあります。その特徴は「しおどき」廃業です。「くたびれ」廃業と言っても良いかもしれません。具志堅氏の場合もコロナ問題が大きく影響していると思われます。ボクシングは殴り合うスポーツであり、トレーニングも対人接触を伴います。コロナで接触が禁止されると、ジムは営業できません。若ければまだ頑張れるのでしょうが、年を取ってくると頑張る気力が衰えてきます。特に60歳を過ぎて来ると常に引退が頭にあります。そうなると必然的に廃業=引退という結論となります。

現在具志堅氏のような状態にある自営業者は多いと思われます。飲食店や小売店、クリーニング店などの自営業では多くの店主が60歳を超えています。コロナによる長期の休業要請が働く気力を失わせた可能性があります。これらの自営業者は、今店を畳めば借金も残らないし、貯えや年金で何とか生活して行けるところが多いと予想されます。ならばここら辺が店を閉める「しおどき」と考えることとなります。

これらのサービス業は、従業員のいない本当の自営業ですが、製造業では従業員を数人抱えた自営業が多いと考えれます。これらも今回のコロナで売上が減少しているところが多いと思われ、経営の厳しさから「ここら辺がしおどきかな」と廃業を考える経営者は多いと予想されます。こういうことで、コロナにより「しおどき」廃業が増加し、串の歯が抜けるように店舗や工場がなくなると予想されます。コロナによる社会変化は相当大きなものとなります。