河野大臣、行政改革は消費者庁徳島オフィスのストップから

菅内閣の河野太郎行政改革担当大臣が奮闘しています。ハンコ廃止の号令を掛けたら、役所の押印が殆どなくなりそうです。これは署名に加えなぜ押印が必要なのか疑問に思っていた官僚・公務員が多かったせいで、これにヒットしたためだと思われます。従って、河野大臣の真価が問われるのは次の一手です。

私は、次の一手として消費者庁の徳島オフィスの中止を提案します。政府は人口の東京一極集中を抑える狙いで、国の機関の地方移転推進を掲げ、消費者庁は2016年に決めた基本方針の中で移転構想が明記されました。2017年には50人規模のオフィスを設けて効果を検証し、移転の規模や可否を検討してきたということです。この結果、全面移転すると、健康被害が発生した際の危機管理や国会対応が難しくなるとして、50人規模のオフィスを置くに留めるとのことです。このオフィスは消費者政策の研究拠点との位置づけとのことですが、全面移転構想として検討していた関係上何も移転しないわけにはいかないから、とりあえずそのまま置くことにしたのは明白です。そもそもなぜ徳島なのかも分からないし、優秀な研究スタッフが徳島で集めあれるわけがありません。オフィスの幹部は東京の本庁から出向くことになりますから、宿舎の確保や帰宅旅費の支給などで経費が膨らみます。従って、経費の面でもメリットはありません。

そもそも日本の消費の中心で、消費者問題が一番起きる東京から消費者庁を移転する発想そのものが間違いです。消費者庁を地方に置くことなどありえません。同じく構想に入り実現することになった文化庁は理解できます。文化遺産は京都に集中しており、文化庁が東京にあったのがおかしいくらいです。その他移転するとすれば省庁丸ごとではなく、例えば経済産業省の自動車や航空機に関する部署を名古屋に移すとか、1つの部署をその担当する産業の中心地域に移すことが考えられます。そうすれば消費者庁全面移転中止の理由となったことが防げます。というより全面移転が不合理なことは最初から自明のことでした。

このように全面移転を言い出した以上一部でも移さざるを得なくなって決まった消費者庁の徳島オフィスは、消費者庁の効率を低下させ、コスト高を招くものであることは明白です。将来行政改革の視点から廃止することになるのは必然であり、今のうちに中止した方が賢明です。イージスアショアを中止するよりはるかに小さな問題です(騒ぐ政治家がいるのは分かりますが、徳島選出の国会議員のみのはず)。河野大臣の突破力に期待したいと思います。