佐藤勉衆議院議員の麻生派離脱は河野支持派の結成

麻生派に属している佐藤勉衆議院議員が仲間数人を連れて麻生派を離脱するようです。佐藤氏は2017年、天元会という政策集団6人で麻生派(志公会)に参加していますので、元に戻る格好のようです。この原因については、麻生氏が遊び仲間である松本純元衆議院議員を特別会員として麻生派に迎え入れたことに不満があるからとか言われています。しかし離脱のきっかけは昨年10月の自民党総裁選にあると思われます。

昨年10月の自民党総裁選は、当初菅首相が再出馬し、再任されると言われていました。しかし突然菅首相が出馬しないと宣言し、混戦となりました。菅首相が出馬辞退になったのは、安倍元首相、麻生氏が出馬しても支持しないと言ったためと言われています。その結果、実質的に岸田文雄氏と河野太郎氏の争いになったわけですが、河野氏の所属派閥である麻生派では、麻生会長が「出るのなら止めない」という消極支持であり、有力幹部である甘利明氏らが公然と岸田支持に回りました。その中で佐藤氏は河野氏の推薦人に名を連ね、ある意味派閥の道義を果たしていました。派閥は同士が集まったものであり、仲間が総裁選に出るとなれば一致結束して応援するのが当然です。ところが昨年の総裁選で麻生派は、麻生会長自身が河野氏を応援せず、派閥の幹部の多くも岸田支持に回りました。これは派閥の意義を失わせるものであり、この時点で麻生派は派閥の体を成していなかったと言えます。今回の佐藤氏の麻生派離脱はこれが現象として現れたものです。

このように今回の佐藤氏らの麻生派離脱は、昨年の自民党総裁選に起因しており、佐藤氏らの今後の動きは、次の総裁選に向けた動きと言えます。それは河野総裁・首相実現に向けた動きです。今後連携すると言われる菅元首相は河野氏の後ろ盾であり、二階派事務総長の武田良太衆議院議員も昨年の自民党総裁選では河野氏を支持していました。同じく連携が噂される森山派の森山裕衆議院議員も同様です。このように佐藤氏が連携を模索している人たちは、昨年の自民党総裁選で河野氏を支持した点で共通しています。佐藤氏は自ら政策集団を率いたように政策に拘りがあるようであり、政策を実現するためには、政策が近い総裁を実現するしかありません。そのためには、次の総裁選に向けて河野支持者の拡大を図ることが重要であり、佐藤氏はそのために動きだしたと考えるのが妥当です。

こう考えると、佐藤氏の次の動きが見えてきます。先ず盟友菅元首相と政策グループを立ち上げるでしょうし、さらに二階派、森山派、石破グループとの連携を強化します。そしてこの動きのクライマックスは、河野氏が自らの支持者と共に麻生派を飛び出して、このグループを糾合して河野派を結成することです。これをしない限り河野総裁の実現は有得ないので、この可能性は相当高いと思われます。このように佐藤氏の麻生派離脱は、河野派誕生に向けられたものと思われます。