楽天モバイルの使命は終わった

5月13日、楽天モバイルが突然1Gまで無料の料金制度を廃止し、3Gまで1,078円の料金とすると発表しました。楽天モバイルの加入者数はMVNOを含め約550万人となっていますが、この内100~200万人はこの無料会員ではないかと予想されます。なぜこんなに多いかというと、1つは楽天モバイルは電波塔が少なくかつプラチナバンドを持っていないため通信品質が低く、サブの携帯電話として持っている人が多い。2つ目は、携帯電話をほとんど使わず万が一のために持っている人が多い、ためと考えられます。この人たちにとっては他社にない大変ありがたい料金制度であったことは間違いりません。一方携帯電話会社にとっては、この層からの料金が大きな利益源になっていると考えられます。楽天モバイルも遅まきながらこのことに気付き、他社に追随したのでしょう。楽天モバイルとしては他社並みにしただけであり、多少の解約はあっても大きな解約数にはならないと踏んでいると思われます。しかしネット書き込みを見ると楽天モバイルへの反発は大きなものがあり、予想を上回る解約数となりそうです。報道によると楽天モバイルのこの発表以降、無料の料金が可能なauのpovoの契約が処理できないほど増加しているとのことです。またソフトバンクはLIMEMOの一月980円のプランを6カ月無料にすると言う楽天モバイル解約者の移行を狙ったプランを発表しています。ドコモはMVNOであるOCNで一月550円のプランを用意しており、受け皿があります。楽天モバイルの1Gまで無料プランを契約していた相当数の契約者がこれらに移行すると思われます。このプランの廃止により楽天モバイルは繋がらないという携帯電話としては致命的なデメリットがある一方、メリットがなくなったことから、新たに楽天モバイルに加入する人がいるとは考えられません。楽天モバイルの使命は終わったかも知れません。

それに今回の料金変更の発表に当たり楽天の三木谷社長が「ぶっちゃけ、0円でずっと使われても困る」と発言したことが思いのほか契約者の反発を買っています。この1Gまで無料の料金発表時には「コロナ禍に苦しむ家計の負担を和らげる目的で導入した」と説明していています。この三木谷社長の発言は、このプランの契約者を迷惑ユーザー扱いしたものであり、このプランの契約者の多くを不愉快にしました。これが大量解約の1つの要因でもあります。

同時に最近楽天はポイント制度など改悪が相次ぎ、楽天を使って良いことはないという印象が強くなっています。こうなると解約ばかりか今後楽天モバイルに新たに加入する人が少なるなのるのは確実です。そうなれば先ず1,000軒を超えたと言われる楽天モバイルショップや郵便局の楽天モバイル取扱い窓口で閑古鳥が鳴くようになります。そして閉鎖が始まります。

今回の楽天モバイルでの不遜なやり方は、楽天グループ全体の評判を落とし、グループ会員の減少をもたらすと思われます。先ず楽天ショップの出店者および楽天ショップからの購入者が大きく減少すると考えられます。その分ヤフーショップが伸びるはずです。現在では楽天ショップよりヤフーショップが魅力的です。その他住信SBIネット銀行のIPOに伴い、楽天銀行も顧客を奪われるでしょうし、楽天証券も同じです。楽天モバイルの料金政策の失敗は、楽天モバイルの存続を危なくしたばかりか、楽天グループへもダメージを与えることは間違いありません。